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プラント保全に利用する3Dビューアのプロトタイプ、日揮が提供開始

DIGITAL X 編集部
2021年10月12日

化学プラントなどの設備保全業務に使用する3D(3次元)ビューアのプロトタイプを日揮が2021年11月1日から提供を始める。プラント内の設備情報に視覚的にアクセス可能にすることで、広大な敷地を持つプラントの保全業務の効率を高めるのが目的だ。日揮ホールディングスが2021年10月5日に発表した。

 日揮の「INTEGNANCE VR」は、プラント設備の3D(3次元)データなどを参照するためのビューア(図1)。プラント全体を撮影した360度パノラマ写真上に、設備などの3D形状モデルを組み合わせ、関連データをタグ付けすることで、各機器や部材の相関関係を可視化する。

 INTEGNANCE VRを装着すれば、仮想環境に構築したプラント内を移動しながらの点検などが可能になる。事務所のPCから現場の状況を測量することも可能だ。

図1:「INTEGNANCE VR」の画面イメージ

 また、画像領域を分割するAI(人工知能)技術であるセマンティックセグメンテーションにより、1つのプラントに数十万点あるとされる配管を自動で抽出することで、空間データの構築作業を簡略化できるという。

 INTEGNANCE VRは、CAD(コンピューターによる設計)システムの開発などを手掛けるArentが持つ3D技術を使って開発した。3D CADやAR(Augment Reality:拡張現実)/MR(Mixed Reality:複合現実)といった空間表現手法をVR(Virtual Reality:仮想現実)と重畳させることで、実世界とデジタル空間の融合を実現したとしている。

 まずは、これまでの実証実験に協力した企業に対し、INTEGNANCE VRのプロトタイプ版を無償提供する。そこから得たフィードバックを元にシステムを改善し、2022年度中の本格商用化を計画する。導入に必要な、プラントの360度パノラマ写真撮影や実空間のレーザー計測といった事前セットアップ作業も日揮が支援するという。

 将来的には、日揮が国内製油所や石油化学・化学プラント向けに提供する保全サービスブランド「INTEGNANCE」の一サービスに位置付け、プラント事業所における設備管理、製造、保安など各部門の業務を横断する仕組みを構築することで、複数の事業所をまたいで全体を最適化する保全プラットフォームを実現し隊考えだ。