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口コミなどに現れる感性を「道徳」「意外性」「感情」の3観点から分析するサービス、日立が開始

DIGITAL X 編集部
2021年10月14日

ソーシャルメディアでの口コミなどのテキストデータに現れる感性を分析するサービスを日立製作所が強化し、2021年10月7日に提供を開始した。これまで「感情」の観点のみから分析してきたが、「道徳」と「意外性」の観点を加味した分析を可能にした。顧客の価値観や隠れたニーズなどを把握でき、マーケティングやリスク対策などに利用できるとする。同日に発表した。

 日立製作所の「感性分析サービス」は、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や口コミサイトなどのテキストデータをAI(人工知能)技術で分析し、書き込み者の「感性」を分析・可視化するサービス。今回、「道徳」と「意外性」の観点を追加し、これまでの「感情」と合わせて3つの観点から分析できるようにした。

図1:新しい「感性分析サービス」では、感情・道徳・意外性の3観点から分析ができる

 「感情」「道徳」「意外性」の3つの観点から分析することで、多数派と少数派双方の反響を多角的かつ定量的に分析・可視化でき、新たな気付きを得られるとする。商品の企画・開発や販売戦略などのマーケティングや、SNSにおける炎上の検知と対処といったリスク対策に利用できるという。

 道徳の観点からの分析には、「モラル分析」の機能を使う。嬉しさや驚き、不満など顕在化された感情の背景にある道徳的な価値観を可視化する。テキストデータから特徴語をAI技術で抽出し、5つの道徳基盤「擁護」「公正」「内集団」「権威」「純潔」のどれに当てはまるか、各道徳基盤に順守/違反しているかを分類し定量化を図る。

 モラル分析機能は、東京工業大学 環境・社会理工学院 イノベーション科学系 准教授 笹原 和俊氏の研究室の助言を基に開発した。

 意外性分析機能は、大量データに埋もれている小さな反響の変化や少数派の意見など、意外な情報を抽出して分析・可視化する。感情分析やモラル分析では件数が少なく表示されなかった少数派の反響と、その時間帯を抽出する。

 これにより、ある期間に突然出現する意外な単語や、単語の組み合わせが分かり、新たな気付きを得られるとする。時系列の情報と出現頻度を組み合わせたアルゴリズムを活用している。

 感性分析サービスは、日本語と英語に対応する。日立は、反響分析のレポート提供や分析結果に対する施策立案までを支援できるとしている。今後は、人事や採用、人材育成などのHR(Human Resources)領域でのユースケースを拡大する。

 感性分析サービスの利用料金は個別見積もりである。