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“折り”の技術で製品の形状などを開発・改善するサービス、折り技術のOUTSENSEが開始

DIGITAL X 編集部
2021年11月4日

モノの折り方を工夫することで、製品の形状を開発したり改善したりを支援するサービスを“折り”技術を手がけるOUTSENSEが開始した。モノを折ることで表面形状などを形成することで、製品の生産性や施工性、および製品が持つ輸送性や収納性、衝撃吸収性などを高められるとする。2021年10月25日に発表した。

 OUTSENSEは、金属板などのモノを“折る”ための技術を専門にする企業。今回、折り技術を使って表面形状を探索するシステム「ORIFACE」を使って、各種製品の開発・改善を支援するサービスを開始した。

図1:“折り技術”でモノを折る表面形状を見い出した例

 ORIFACEは、折り技術を使って製品の表面形状を再構築することで付加価値を高めるためのサービス。折りによって実現できるハニカム(蜂の巣の六角形)構造や蛇腹(山折りと谷折りの繰り返し)構造などを適用する。そのために計算・物理・生産の3つの工学を使い、折り目を入れるための幾何学的パターンを見いだし、その折り目を制御することで力学や熱・音・光とった物理現象をコントロールする(図2)。その折り方を実現できる材料の選定や製造に関するノウハウも提供する。

図2:ORIFACEが利用している3つの工学分野

 製品を折り技術で実現することで、(1)折り畳めることによる輸送性・収納性の向上と環境負荷の軽減、(2)変形する方向や強さ、変形しやすさの制御による衝撃吸収性や剛性の向上、(3)複雑な形状の生産性・施工性の向上と工数・コスト削減が図れるとする。

 新サービスは(1)事業創出型と(2)課題解決型とを用意する。前者は既存製品をORIFACEで解析することで、既存市場での未発達領域や市場の成熟度を算定し、新たな事業領域を見いだすアプローチ。後者はORIFACEにより製品が持つ課題の解決策や要求の実現策を見いだすアプローチである。

 一例としてトタン屋根への適用を挙げている。事業創出型では、トタン屋根の既存製品群の表面形状を解析し、断熱性や流動性などから評価しデータベース化することで、製品のポジショニングを明らかにしたうえで、新機能を付与した製品を提案する。新規事業創出に向けたワークショップの開催や試作開発の受託にも対応する。

 課題解決型では、種々の折り形状のシミュレーションデータのデータベースから、トタン屋根の形状を最適化して材料を約10%削減できる形状を提案し、値下げや軽量化、環境負荷への軽減が可能な製品への改善を支援する(図3)。研究・開発や試作の受託にも対応する。

図3:トタン屋根の形状を最適化し材料削減を図った例

 いずれの型でも、既存の解決方法と比べた環境負荷や利益などの改善率を数値化し評価できるため、製品の市場価値の推定や開発目標を、より具体的・視覚的に判断できるとしている。