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人流を建物・道路単位で予測するサービス、NTTデータが開始

DIGITAL X 編集部
2021年11月11日

人流を建物や道路の単位で分析・予測するサービスを、NTTデータが2021年11月1日に開始した。街への人出を把握することで、店舗での需要予測や不動産の将来性評価、街づくりや都市交通の計画などに利用できるとする。2021年10月26日に発表した。

 NTTデータの「BizXaaS(ビズエクサース)MaP 人流分析」は、施設などの周辺における人流を、建物や道路・歩道の単位で分析・予測するサービス(図1)。位置情報コンテンツと業務アプリケーションを一括して提供する「BizXaaS MaPシリーズ」の新サービスとして提供する。

図1:「BizXaaS MaP 人流分析」では、道路単位や建物単位で人流を分析できる

 BizXaaS(ビズエクサース)MaP 人流分析が提供できる分析結果は、(1)ピンポイントでの人数推計、(2)リアルタイムな人流と予測など。ピンポイントの人数推計では、建物単位や、道路・歩道単位で絶対人数を把握できるという。リアルタイムな人流と予測では、人流現況を把握したうえで、現況を加味した将来の人流を予測する。

 分析には、人口分布統計データや人流プローブデータなどを適宜組み合わせて利用する。人口分布統計データは、NTTドコモの携帯電話ネットワークの仕組みで得られる「モバイル空間統計 国内人口分布統計(リアルタイム版)」を用いる。約1時間前の人口分布を500メートルのメッシュ単位で、性別・年代と居住地という属性ごとに集計されている。

 人流プローブデータには、リアル行動データ基盤「Beacon Bank」(unerry製)を利用する。各企業が持つビーコン情報を一括管理し共有・相互利用できるものだ。リアルタイムGPSプローブやカープローブなども用いている。

 分析・予測技術として、人口分布統計データに、GPS(全地球測位システム)など複数の人流プローブデータや地理空間データを複合的に加味し処理することで精度を高めている(図2)。ビッグデータの処理技術のほか、AI(人工知能)による予測技術や並列分散処理のノウハウを用いている。

図2:各種データを用いて人流をリアルタイムに分析・予測する

 BizXaaS MaP 人流分析は既に、豊洲スマートシティ推進協議会が、街づくりやエリアマネジメントのための街のデータを可視化する「バーチャル豊洲ビューアー」の取り組みの中で利用している。ヤマト運輸は、荷物の実績と人流分析から荷物の取扱量の潜在的な可能性を予測する実証実験において利用しているという。

 ほかにも表1のような適用が可能だとしている。

表1:BizXaaS MaP 人流分析の業界/分野別の適用例
業種/分野適用例
小売り・流通店舗周辺の通行量や購買数をリアルタイムに予測し、発注・在庫・シフト管理の精度を高め、タイムセールや閉店間際の割引率の最適化などで機会損失や食品廃棄を削減する
飲食店街の人出をリアルタイムに把握し、来店予測に基づいて仕込み量を調整し食材廃棄を削減する
メーカーや卸などの各種営業営業先の店舗や施設の周辺状況を把握することで、リモートワークなど人々の行動変容や街の変化に合わせた品揃えや販促施策などを提案する
自治体・イベント施設の利用者数や周辺の人流予測などを利用者に提供することで、密を回避したり災害時に適切な避難を誘導したりする
都市交通交通需要予測や都市のシミュレーションを、公共交通の運行ルート検討やオンデマンド交通の配車最適化などに利用することで、エネルギー効率が高い低炭素社会を実現する
スマートシティ人流分析・予測により街の経済活動を理解し、都市活動の効率や市民生活の質を高め、人々の生活に寄り添った持続可能な街づくりに取り組む

 BizXaaS MaP 人流分析は、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)により既存システムとの連携ができる。既存の店舗や施設実績データを組み合わせた分析などを実現するための導入支援サービスも用意する。

 NTTデータは2025年度までに年間20億円の売り上げを目指す。