• News
  • 公共

IoTセンサーと3D都市モデル「PLATEAU」を使う防災サービス、東京海上日動と応用地質が開発へ

DIGITAL X 編集部
2021年12月2日

IoTセンサーが取得するデータと、国土交通省が整備を進める3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」使って、台風や集中豪雨などによる浸水被害を可視化する防災サービスを、東京海上日動火災保険と応用地質が共同で開始する。企業や自治体に防災・減災行動を促すサービスとして提供を目指す。2021年11月5日に発表した。

 東京海上日動火災保険と応用地質が共同開発するのは、(1)防災・減災活動支援サービスと(2)3D都市空間・浸水被害シミュレーションなど。さらには、流体解析技術や可視化技術を取り入れて、データ活用の高度化を目指すほか、自治体と地域住民間、あるいは企業とステークホルダー間での防災・減災に向けたリスクコミュニケーションツールの開発にも取り組むという。

 両者は2021年6月に戦略パートナーとしての提携を結び、スーパーシティに向けた防災サービスの開発に取り組んできた。第1弾として「リアルタイム浸水情報」を開発済みだ。人工衛星データや浸水深解析に基づく「浸水エリア予測」と、冠水を検知する防災IoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーによる「実測データ」を組み合わせている。

 防災・減災活動支援サービスでは、このリアルタイム浸水情報や人工衛星などからのデータを元にアラートを発出し、企業や自治体に防災・減災行動を促せるようにする。

 サービス開発に向けては、福岡県久留米市で2021年7月から、過去の浸水履歴やハザードマップ情報から水災リスクを分析し、リスクの高いエリアにある保険代理店に冠水を検知するIoTセンサー「冠すいっち」を設置し、その有効性を検証してきた。

 2021年8月に発生した豪雨では、で8月14日4時46分までの1時間に72.0ミリという8月の記録としては観測史上最大の雨が観測された。この時、冠水センサーは、同日3時29分に4センチメートル以上の冠水を検知し、4時41分には45センチメートル以上への上昇を、7時27分には4センチメートル未満になり冠水が解消したことを、それぞれ検知した。

図1:福岡県久留米市に設置した冠水センサー(左)と検証時の雨量・気象警報と冠水センサーの検知結果の例

 検証の結果、冠水センサーから得られるデータが実際の浸水状況や浸水深と整合していること、事前登録した関係者へのアラート情報がリアルタイムに配信されたこと、東京海上日動が活用している人工衛星データによる浸水エリアの特定や浸水深解析の精度向上にもつながることが確認できた。

 3D都市空間・浸水被害シミュレーションでは、防災IoTセンサーが収集するデータと気象データ、ハザードデータなどに、国土交通省が整備する3D(3次元)都市モデル「PLATEAU(プラトー)」を組み合わせ、周辺状況の把握を容易にするほか、災害をよりリアルに表現できるようにする。

図2:冠水センサーのデータを3D(3次元)都市モデル「PLATEAU(プラトー)」上で可視化した例

 同シミュレーションを使って、自治体を対象にした地域特性別の自然災害対応力の向上支援サービスや、拠点リスクの可視化による事前防災対策・意思決定支援などのサービスを開発していく予定である。