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DXのための最新ツールを“使える道具”に変えるガイダンスの価値
操作手順や入力すべきデータなどを示すテックタッチのデジタルアダプションサービス
データと業務との関係を明確にすることが活用を加速
こうしたガイダンス機能は、単にエンドユーザーの使い勝手を高めるだけでなく、組織として必要な “正しいデータ”の入力にもつながる。入力すべきデータの形式や桁数はもとより、入力するデータと業務上の関係性や、そのデータを入力する狙いなどもガイダンスで伝えられるからだ。
例えば、営業プロセスの改革や顧客情報の獲得・分析に向けたSFA(営業支援)ツールや、経営ダッシュボードを構築するためのBI(Business Intelligence)ツールの導入などは、正しいデータを求める顕著な例だろう。そのためもあり、ツールは多機能化が進み、多様なデータの網羅的な入力を求めてくる。
「組織としての活動を最適化するために、例えばSFAであれば、顧客の予算や競合相手、案件の進ちょく状況や遅れの原因、顧客が注力している業務内容など様々なデータを収集しようとします。ただ、すべてのデータ項目における組織にとっての意義を営業担当者が把握できなければ、現場でのデータ入力作業は負担でしかなく、後ろ向きにさせる一因となり、入力漏れや不正確なデータ入力につながっていきます」と井無田 氏は問題視する。
そこにガイダンスによって、データ取得の目的を明示しながら操作手順を示せれば、使い勝手のみならず、データと営業担当者自身の業務が結び付き、システム利用に対するイメージの改善につなげられるという。
井無田 氏は、「そもそも、大量のデータ入力を急に求めるのは酷な話なのです。DAPによりシステムの使い勝手を継続的に高めていけば、入力範囲を着実に拡大できるだけでなく、データ入力の意義についても理解が進み、エンドユーザー自身による能動的なシステム活用が高度化していきます」と強調する。
DAPのメリットを評価したトヨタ自動車や三菱UFJ銀行、IHIといった企業が「テックタッチ」の活用を進めている。ある大手ゲームメーカーでは、全国200店舗以上のアミューズメント施設を結ぶ売り上げ管理システムの刷新に合わせて「テックタッチ」を導入することで、専門知識が乏しい社員が操作しなければならないシステムの一斉展開に成功した。
各社が「テックタッチ」導入で狙うのは、新システム利用の短期での本格化のほか、システム改修時の追加機能の操作説明、操作方法の提示によるITガバナンスの強化など多岐にわたる。
利用企業のニーズの拡大に合わせ、「テックタッチ」の機能強化も進む。その1つが2021年12月に発表予定の「オートフロー」機能だ。RPA(Robotic Process Automation)のように、システム操作の自動化を可能にする。RPAでは専用ツールの導入が進むなか「テックタッチ」では、DAPの一環として提供する。
機能強化の背景について井無田 氏は、「クラウドサービスの導入が進む中で、「各種の業務処理において、他のクラウドサービスが保有するデータを必要とするケースが少なくありません」と説明する。
RPA専用ツールも、データ連携用途を想定している。ただ、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)連携の仕組みによっては、自動連携が困難なケースもあるという。「テックタッチ」のオートフロー機能では、他クラウドからのデータを再入力する際の手作業が自動化できる。
将来に向けては、「企業のシステムは今後、多様なクラウドサービスを併存し、その組み合わせで業務を進める形が続くはずです。DAPの視点から、データを基にシステムの廃止や統廃合によるシステム全体としての最適化や、さらにはIT戦略の策定にまで提供する機能の幅を拡大させていきます」と井無田 氏は意気込む。
ガイダンスの“カイゼン”がシステムの最適化を可能に
システム活用さらにはDXのためのデータ活用へと大きな期待が持てる「テックタッチ」のサービスだが、その効果を最大化するためには、「システムの利用部門が主体となったガイダンスの拡充」(井無田 氏)が“王道”だという。
「データ入力の主役は現場です。それだけに現場の実務課題を一番分かっている利用部門がガイダンス制作の中心になるのが理想であり、システム部門などと連携しチームとして、多面的かつ継続的に使い勝手を高めていくことが成功の鍵になります。作成者の視点が現場に近ければ近いほど良いガイダンスができます」と井無田 氏は語る。
利用部門主体でガイダンスを作ること自体がDXの推進にもつながるとする。「DXの推進では現場とシステム部門の一体感の醸成が何より重要です。『テックタッチ』のDAP機能の導入・活用の過程で、利用部門とシステム部門の対話が進めば、そうした一体感につながるはずです。日本では製造業を中心にボトムアップによる“カイゼン”のカルチャーがあるだけに、決して高いハードルではないと思います」(井無田 氏)
システム活用のカイゼンを可能にするために、システムの利用状況を可視化・分析する機能の提供も予定する。エンドユーザーの操作ログから、データ入力にかかっている時間や、誤入力が多い項目などを把握し、その解消に向けたガイダンスを作成できるようにする。
利用部門主体のガイダンス作成を想定し、「テックタッチ」のガイダンス作成ではプログラミングは不要だ。ガイダンス作成機能により、ノーコードで作成できる。「1件のガイダンス作成に要す時間は30分ほど」(井無田 氏)という。
ガイダンス作成の支援策として、各種クラウドやパッケージに対応したガイダンス作成用のひな形を用意するほか、システム導入の目標や課題の明確化からKPI(重要業績評価指標)の設定、それに基づくガイダンスの設計/作成までをカバーするコンサルティングサービスも提供する(図2)。
「テクノロジーの進化が牽引するデジタル化の時代には、経営環境は複雑さを増し、将来予測がますます困難になっていきます。そうした環境に対応するためには、現場の力をどう引き出すかが問われます。そのための武器として導入されるクラウドやパッケージが持つ力を引き出すのがDAPであり、『テックタッチ』が企業の成長を支えるのです」と井無田 氏は力を込める。
DXの推進に向けては、様々なシステム導入は見直しが続くはずだ。そうしたシステムの活用を支える“黒子”として、「テックタッチ」が求められる場は今後、さらに広がることになりそうだ。