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ビル内空調を最適制御するためのシステム、NTTComら3社が開発に向け実証実験を開始

DIGITAL X 編集部
2022年1月12日

ビル内の空調を最適制御するためのシステム開発に、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とNTTアーバンソリューションズ、NTTファシリティーズの3社が着手した。そのための実証実験を、NTT都市開発が建設中のオフィスビル「アーバンネット名古屋ネクスタビル」において2022年より開始する。快適性と消費エネルギーの5割削減の両立を目指す。2021年11月29日に発表した。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とNTTアーバンソリューションズ、NTTファシリティーズの3者が開発する「空調制御最適化システム」は、ビル内の空調設備を自動で制御・監視するための仕組み(図1)。カーボンニュートラルに向けて、エネルギー消費量の削減と快適性を両立できるようにする。

図1:NTT Comらが開発する「空調制御最適化システム」の概要

 開発においては、NTTグループが持つ人流予測・環境再現・最適制御算出の技術を組み合わせる。ビルに設置した各種センサーでデータを収集し、人流などを考慮した室温変化の予測と人々の快適性を推測し、変化する状況に応じて空調を最適制御するためのシナリオを算出する。

 この仕組みの実証実験を、NTT都市開発が建設中のオフィスビル「アーバンネット名古屋ネクスタビル」で実施する。共用部空調を対象に制御し、快適性を担保しながらも、エネルギー消費の5割削減を目標にする。共用部だけでなく専有部の空調制御についても検討を進め、ビル全体の空調制御にも取り組む。

 実験では、NTT Comがデータ融合基盤「Smart Data Platform for City」を使った空調制御最適化システムの構築と稼働検証および実用化を検討。NTTファシリティーズがビルの運用技術や空調制御のノウハウを提供する。NTTアーバンソリューションズは、保有資産におけるサービス企画やユースケースを検討・検証する。

 今回の実験は、NTTが取り組む「街づくりDTC(デジタルツインコンピューティング)」および4D(4次元)デジタル基盤技術を生かした技術実証・価値検証の一環に位置づける。ビル内の空調と、そこで働く人や集う人などのデジタルツインを構築し、その連鎖・全体最適化によって、省エネだけでなく、快適さや生産性、満足度の向上に寄与できるようにしたい考えだ。

 実験で得た知見を元に、新規物件や既存物件への展開を視野に検討・検証を継続することで、「NTT Green Innovation toward 2040」構想に基づくカーボンニュートラルの実現に取り組む。

 NTT Comらによれば、一般的なオフィスビルにおけるエネルギー消費の約5割は空調が占めている。NTTグループが掲げる「2040年のカーボンニュートラル」を実現するには空調の省エネ化が非常に重要で、従来の設備更改や運用見直しによる改善だけでなく、AI(人工知能)技術を用いた空調制御といった切り口からのアプローチが注目されている。