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ビルの設備やロボットをデジタルツインから制御するアプリケーション、東大グリーンICTとNTT Comが開発

DIGITAL X 編集部
2022年2月2日

ビル内で動作している設備やロボットなどを、デジタルツインから制御するためのアプリケーションを、東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が開発した。実証実験を続けながら、共創によってスマートシティにおける制御用アプリケーションの開発技術の標準化を図りたい考えだ。2021年12月8日に発表した。

 建物における空間や街づくりに取り組む東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が開発したのは、ビルなどの建物空間を制御するためのアプリケーション。現実世界を仮想空間上に再現し両者の相互作用を期待するデジタルツイン技術を使い、建物内で動作しているビル設備やロボットなどをリアルタイムに制御できるよう、データ活用基盤「Smart Data Platform for City」(NTT Com製)上に構築した(図1)。

図1:現実世界と仮想世界を融合するデジタルツイン技術を使い、実際のビル内で動作するビル設備やロボットを制御する

 同アプリケーションを使った実証実験を、NTT Comの共創・検証施設「CROSS LAB for Smart City」(東京都港区)において2021年3月から同11月まで実施している。具体的には、(1)BIM(Building Information Modeling)データを活用したデジタル空間の構築、(2)リアル空間のロボットのデジタル空間からのリアルタイムな制御・遠隔操作、(3)位置情報の連携、(4)各種関連技術の検証である(表1)。

表1:2021年3月から同11月に実施した実証実験の内容
実験項目内容
BIMデータを活用したデジタル空間の構築レーザースキャナーで撮影した点群データを活用し既存建物のBIMデータを作成
デジタルツインで活用するためのBIMデータ構築とデータ変換
リアル空間のロボットのデジタル空間からの制御・遠隔操作ゲームエンジンからの運搬ロボット操作
位置情報の連携ロボットの位置情報のゲームエンジンへの連携
ゲームエンジンからの照明制御
各種技術の検証光センサー技術「LiDAR」(Light Detection and Ranging)による位置情報連携
特定人物の位置情報と連動したロボットの移動と照明操作
ソフトウェアによる機能更新が可能なビル設備と通信ゲートウェイ「Software Defined GW」を連携させた照明制御
インテリジェントビル用通信プロトコル「BACnet」対応コントローラーと連携した空調制御

 実験には、GUTPとNTT Comのほか、日建設計、大塚商会、神田通信機、セコム、竹中工務店、TISが参加した(表2)。

表2:実証実験に参加した企業/団体と役割
企業・団体名役割
GUTP実証と研究の計画の策定、技術検証の実施、アプリケーションの開発
NTT Com実験の場所やセンサー、ロボットなどの提供と、センサーやロボット、ビル設備システムからのデータ収集と制御
日建設計実験全体の推進、実証・研究計画の策定支援
大塚商会BIMによる建物データの作成とデータ連携、プロパティの検討
神田通信機照明や空調、ロボット、ゲームエンジンとの連携ゲートウェイの構築と評価
セコムBIMデータをデジタルツインで活用するためのデータ変換技術やBIMデータ配信サーバーの提供、データ作成プロセスの検証
竹中工務店デジタルツインに関する技術指導、BIM連携技術やデータ作成プロセスの検証、システムエンジニアリング
TIS運搬ロボットの位置情報共有と制御を可能にした「RX(Robotic Transformation:ロボット制御機能)」の提供

 NTT Comは2022年度も、東京以外の拠点でも同様の実験を実施する予定である。複数の空間をまたいだ制御やデータ利用について検証し、広域都市空間でのデジタルツイン活用に向けた検討を進める。

 そのうえで、建築や設計、ビルサービスといった分野からの参画を募り、デジタルツインによるアプリケーション構築技術の標準化を共創により図りたい考えだ。オープンな環境で安全にアプリケーションを構築できるようにすることで、都市が抱える課題の解決に貢献したいとしている。