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デジタルツインを構築・活用するためのクラウドサービス、米AWSが提供へ

DIGITAL X 編集部
2022年2月3日

実世界を仮想空間に再現するデジタルツインを構築し活用するためのクラウドサービスを、米AWS(Amazon Web Services)が発表し、プレビュー版の提供を始めている。センサーや業務アプリケーションなどの種々のデータを統合してデジタルツインを作成することで、システムの遠隔監視や業務プロセス全体の把握などを可能にする。2021年11月30日(現地時間)に発表した。

 米Amazon Web Services(AWS)の「AWS IoT TwinMaker」は、実世界の物理的なシステムを仮想空間に再現するデジタルツインを構築し、それを使ったアプリケーションを開発・実行するためのクラウドサービス(図1)。アジア太平洋地域(シンガポール)を含むリージョンでプレビュー版の提供が始まっている。

図1:「AWS IoT TwinMaker」ではデジタルツインを活用するアプリケーションを開発・実行できる(AWSのブログより)

 AWS IoT TwinMakerを使えば、例えば、産業設備や製造ラインなどの遠隔監視やシミュレーション、業務プロセスの全体像の把握などが可能になる。運用効率や生産性の増加、稼働停止時間の削減などが期待できる。

 デジタルツインへの機械学習などによる分析により、実システムの運用状況を把握したり、機器の異常を予見し保守作業を予防的に実施したりすることで稼働停止時間の削減が図れる。

 AWS IoT TwinMakerではデジタルツインを構築するために、(1)異種混在のデータソースへの接続、(2)実環境のモデル化、(3)空間的な環境を考慮したデータ可視化などの機能を提供する。

 データソースへの接続では、センサーデータやカメラの映像、業務アプリケーションのデータなどを単一の場所に移すことなく収集して連携・統合ができる。AWSのクラウドサービス群用のデータコネクターのほか、独自のデータコネクターを作成するためのフレームワークも用意する。

 AWS用データコネクターには、センサーデータ用の「AWS IoT SiteWise」、映像データ用の「Amazon Kinesis Video Streams」、ストレージサービス「Amazon S3(Simple Storage Service)」用などがある。

 実環境のモデル化では、収集したデータ群からデータソース間の関係を示すナレッジグラフを自動で作成する。モデル化した実環境からデータをリアルタイムに取り組むことで、デジタルツインを常に最新の状態に更新できる。

 データの可視化では、実システムの包括的な3D(3次元)ビューをリアルタイムに作成できる。インタラクティブな映像とセンサーデータを重ね合わせたり、機械学習やシミュレーションのサービスと接続してインサイトを得たり、機器の保守作業記録とマニュアルを追加したりができる。そのために、CAD(コンピューターによる設計)/BIM(Building Information Modeling)ファイルや点群データなどを直接読み込める。

 デジタルツインを使ったWebベースのアプリケーションの開発環境としては、ダッシュボードと視覚化のためのオープンソース基盤「Grafana」(Grafana Labs製)を対象にしたフルマネージドサービス「Amazon Managed Grafana」用のプラグインを用意する。

 AWS IoT TwinMaker自体の利用料金は不要だが、デジタルツインやアプリケーションが利用するAWSサービスの料金が必要になる。