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社会インフラ設備の運用・保守に機械学習などを活用する支援サービス、日立パワーソリューションズが開始

DIGITAL X 編集部
2022年4月20日

社会インフラ設備の運用・保守に機械学習やナレッジ管理の仕組みを利用するための支援サービスを、日立パワーソリューションズが2022年4月1日に開始した。設備投資や、保守要員および保守コストの最適化、設備の安定稼働などを図れるようにする。加えて環境経営にもつなげられるとする。2022年1月19日に発表した。

 日立パワーソリューションズの「KamomeX(カモメックス)」は、社会インフラ設備の保守を対象にしたクラウドサービス。インフラ設備にかかわる諸部門が持つデータを、機械学習モデルを使って分析するほか、日立が持つ保守サービスに関するノウハウや知見を組み合わせ、担当責任者の保守業務における意思決定を支援する(図1)。

図1:「KamomeX」は社会インフラ設備の運用・保守業務を支援する

 KamomeXでは、利用者のニーズに合わせて、データ処理モデルを変更できる。  併せて設備の運用・保守に関する熟練技術者のナレッジも一元管理することで、運用コストの最適化や安定稼働を図れるとする。

 社会インフラの運用・保守では、設備の劣化や、運転環境および運転基準が変化により、データの精度にばらつきが生じる。結果、データ分析にはIT技術者の専門的知識が欠かせなかった。KamomeXでは、OT(Operational Technology:制御・運用技術)技術者や保守員が持つナレッジの機械学習を繰り返すことで、不具合発生時の対応や復旧に向けた対処などに、専門家同様の判断ができるよう支援する。

 支援対象は大きく、(1)計画立案、(2)可視化、(3)リスク低減、(4)環境経営の4領域になる。計画立案では、責任者が担当する合理的な保全計画の立案や、設備投資計画への意思決定を支援する。そのためのデータ分析モデルの品質や診断精度を機械学習によって継続的に高める。

 可視化では、知識や知見、専門的な技術を対象にする。具体的には、現場への依存度が高く標準化が難しい、熟練作業者が有するナレッジや、IT技術者/分析担当者の知見、試行錯誤の過程などのノウハウだ。

 リスク低減では、設備故障の予兆検知、原因診断で計画外停止のリスクに備える。同社の遠隔監視・支援センターなどが提供するサービスや、日立グループが提供するエネルギー管理や設備管理のためのシステムなどと組み合わせることで、保守業務の高度化を図る。

 環境経営では、環境保全コストの検証結果や環境負荷物質の排出量データから、環境に関する課題の抽出や環境負荷の低減を支援する。それらを考慮した分析モデルの再構築も促す。