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太陽光や蓄電池など分散型電力の安定的供給に向けた情報流通基盤、NTTデータが実証実験へ

DIGITAL X 編集部
2022年4月25日

太陽光・風力といった再生可能エネルギーや住宅の蓄電池などを組み合わせた分散型エネルギー(DER)のための情報流通基盤を、NTTデータが構築し、実証実験を2022年度から実施する。DERを大量導入する際にも、需給バランスを崩すことなく安定的に電力を供給できることを検証する。2022年1月28日に発表した。

 NTTデータが開発中の「グリーン分散エネルギー情報流通基盤」は、太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーや蓄電池など、脱炭素社会の実現に向けて導入が進むであろう分散型エネルギー(DER:Distributed Energy Resources)の大量導入を可能にするための情報流通基盤(図1)。DERに関連する新サービスの提供を検討している種々の事業者に提供し、DERを使った電力の安定供給を支援する。

図1:NTTデータが実証実験を実施する「グリーン分散エネルギー情報流通基盤」の全体像

 グリーン分散エネルギー情報流通基盤では、電力システムを仮想空間上に再現するデジタルツインを構築することで、電力需給を把握し、予測・制御する(図1)。電力需給を制御する事業者である電力アグリゲーターを複数接続し、彼らが電力網に接続されている全DERの発電量などの情報を利用できるようにする。送配電事業者は、電力の需給量を正確に予測し安定的に電力を供給できるようになる。

 DERの制御やアグリゲーター間での電力取引・融通なども支援する。DER情報の流通は、DERの種別に応じてリアルタイムに、事業者や個人などの秘匿性を担保した形で実行可能にするとしている。

 2022年度から実証実験に取り組み、2025年の商用化を目指す。実験では、必要な技術要素を検証しながら、種々の業界との接続実験を進める。2025年の商用展開時には、DERとして3000万台の接続を想定し、DERから収集した情報を数秒~1分周期で処理することを目標にする。

 大量のデータ処理に対応するために、グリーン分散エネルギー情報流通基盤はNTTグループの「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」を使って構築する。IOWNでは、高速大容量・低遅延の通信や大量の計算が可能になるという。

 NTTデータによれば、DER電源群が急速かつ大量に既存の電力網へ接続されれば、需給バランスが崩れ電力の安定供給に支障をきたす可能性がある。