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鉄道やバスの乗客需要や混雑度合いを分析するサービス、日立が開始
鉄道やバスの人流を予測し乗客の需要や混雑度合いを分析するサービスを、日立製作所が2022年1月27日に開始した。混雑回避を促す情報を乗客に配信したり、列車の混雑率や乗車までの待ち時間などを算出したりができる。2022年1月26日に発表した。
日立製作所の「人流予測情報提供サービス」は、鉄道やバスの乗客需要や混雑度合いを分析するサービス(図1)。発着場所別の人数データや時刻表データを、AI(人工知能)技術やシミュレーション技術で解析し、駅や列車の乗客数や乗客の移動時間などから列車の混雑度合いを分析し、過去の混雑状況を再現したり将来を予測したりを可能にする。公共交通事業者の輸送/運行計画や運行管理、保守、旅客案内、経営分析などに利用できる。
人流予測情報提供サービスが提供する機能は、(1)乗客需要予測と(2)路線シミュレーションなど。
乗客需要予測では、駅の入出場者数や時刻表などの現場データと、大都市交通センサスや天候などのオープンデータから、乗客の経路や列車ごとの利用状況を個人を特定せずに推定する。列車運行の本数や間隔の見直しなどによる運用コスト削減を支援する(図2)。将来の需要に突発的な需要の増減要素を加味すれば、例えばイベント開催日における需給バランスを事前に評価できるという。
路線シミュレーションでは、乗客需要予測の結果と時刻表データをもとに、列車の混雑率や駅を通過する乗客の目的地別の割合、乗客の移動時間や列車待ち時間を導き出せる(図3)。時刻表データの改変による影響をシミュレーションし、その結果を輸送計画の評価検討や、事故発生時などの乗客誘導の検討に利用できるとしている。分析結果はCSV形式の帳票や情報配信サービス向けの画像として提供する。
これらの分析結果は、乗客に対して駅や車両ごとの混雑情報として配信すれば、密や混雑を回避するための移動経路や列車の選択を促すようにもできる。本サービスを先行導入した東京メトロでは、全路線・全区間の列車内と全駅の改札口における混雑状況を時間帯ごとに、スマートフォン向けアプリケーションや公式Webサイトで配信している。
人流予測情報提供サービスの利用に向けては、日立が分析環境やデータの整備を実施する。データの受領から分析、結果提供、業務適用までの業務フローを自動化するなどの要件にも対応する。データ分析に関するコンサルティングも用意し、交通事業者が保有するデータの性質や分析対象エリアの特徴に合わせたデータの処理方法を提案する。
複数事業者が乗り入れ乗客数を正確に把握できないエリアについては、国や自治体による交通量調査や人口統計などのオープンデータ、通信業者が提供する位置情報の統計データにより必要なデータを補完し分析精度を高めるとしている。
ダイヤ作成や車両・乗務員の配置・運用計画の立案のための各種システムと連携も可能だという。今後は、ポイント管理システムなどとも連携し、会員情報や購買データなども組み合わせ、沿線住民向けサービスの向上や需要に基づく都市開発のための分析メニューを追加するとしている。
日立によれば、乗車率の可視化は、目視による計測や一部の車両から取得したセンサーデータから乗車人数を推定する方法が主流だ。しかし、正確さやコストの面で課題があるという。
人流予測情報提供サービスは月額制を取るものの、その料金は個別見積もりになる。