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介護リスクを早期に把握し予防施策を立案するためのソフトウェア、富士通Japanが発売

DIGITAL X 編集部
2022年4月27日

自治体が住民への介護予防施策を立案することを支援するソフトウェアを富士通Japanが2022年1月25日に発売した。AI(人工知能)技術を使って介護リスクを早期に把握することで、より有効な施策の立案を可能にする。同日に発表した。

 富士通Japanの「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2 介護予防AIスクリーニングオプション(介護予防AIスクリーニング)」は、自治体における、高齢者の介護リスクの早期把握と介護予防施策の立案を支援するためのソフトウェア。同社の介護保険システム「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2」を利用する自治体にオプションとして販売する。

図1:「介護予防AIスクリーニング」の分析イメージ

 介護予防AIスクリーニングでは、過去に要介護認定を受けた人の特徴の組み合わせと影響度を抽出・グループ化し、リスクが高い順にグラフ形式で表示できる。自治体職員は将来の介護リスクの早期発見や要介護リスクが高まる傾向を把握できるという。

 介護リスクの可視化は、「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz」(富士通製)を使って実現した。EnsemBizには、説明可能なAI(人工知能)技術「Wide Learning」(同)を実装している。

 学習データには、MCWEL介護保険V2が管理する住民の年齢や要介護状態区分といった介護認定情報、同居人の有無といった帯情報、過去の介護サービス受給履歴などを利用する。

 製品化に先立ち、2019年に福島県いわき市で実証実験を実施した。2018年末時点で介護認定を受けていない高齢者8万人を対象に、1年後に要支援2以上になった高齢者の特徴を元に影響度をグループ化してAI学習モデルを作成。介護認定を受けてない高齢者に対してAI学習モデルを適用することで将来的な介護リスク度合いを算出した。

 富士通Japanによれば、日本の介護認定者数は約684万人、介護給付費は約12兆4000億円と、この21年間でそれぞれ約3倍強に増えている。自治体にあっては、社会保障費の増大や介護保険財政の圧迫、介護関係に従事する職員の負荷などが課題になっている。また介護認定は本人らの申し出により状況を認識するケースがほとんどで、事前の把握が困難な状況にある。

 介護予防AIスクリーニングの価格は個別見積もり。2024年度末までに、MCWEL介護福祉関連ビジネス全体で累計約12億円の売り上げを目標にする。