• News
  • 流通・小売り

来店客数などを人流や気象データから予測するサービス、日本気象協会と共同開発したソフトバンクが販売

ANDG CO., LTD.
2022年5月5日

人流や気象のデータを使って小売業の需要を予測するサービスをソフトバンクと日本気象協会が共同開発し、ソフトバンクが2022年1月31日に発売した。第1弾として店舗ごとの来店客数の予測機能を提供している。同日に発表した。

 ソフトバンクと日本気象協会が共同開発した「サキミル」は、AI(人工知能)技術を使った小売業のための需要予測サービス。ソフトバンクが提供する人流統計データと日本気象協会が保有する気象データに、サービスの利用企業が保有する店舗ごとの売り上げや来店客数といったデータを組み合わせ各種需要を予測する(図1)。まずは店舗ごとの来店客数を予測する「来店客数予測」機能を提供している。

図1:需要予測サービス「サキミル」の概要

 人流統計データは、ソフトバンクの携帯電話基地局から得られる数千万台の携帯端末の位置情報データを個人が特定できないように統計的に処理したうえで、日本の人口約1億2000万人に拡大推計したもの。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大など、新たなイベントで人々の行動が短期間に変容した場合でも、店舗周辺の人流の把握が可能になるという。

 一方の気象データには、気温や日射量、風速、降水、降雪、湿度、天気などが含まれる。

 商品化に先立ち、中部地方を中心にドラッグストアを展開するバローホールディングスグループ会社の中部薬品で事前検証した。結果、来店客数の平均予測精度が93%だった。バローホールディングスはグループ企業が運営する約1200の店舗を対象にサキミルを本番導入していく予定だ。

 第1弾として提供する来店客数予測の結果を利用すれば、店舗ごとの商品発注数や従業員の勤務シフトを調整することで、商品や調理材料の無駄を減らしたり、より効率的に店舗を運営したりが可能になるとする。キャンペーンやイベントの企画、クーポンの配信などの拡販策の検討にも利用できるという。

 今後は、商品の需要予測機能を開発するほか、在庫発注やシフト作成などの機能を順次追加する予定だという。

 来店客数予測の利用料金は、1店舗当たり月額5390円(税込)である。