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目印になる建物などが写っていない景観画像から場所を推定する技術、NECが開発
場所を特定するための目印になる建物などが写っていない景観画像から、その場所を推定するための技術をNECが開発した。衛星画像や航空写真と照合することで推定する。例えば自然災害時の現場を写した写真から被災場所や範囲を把握し救助活動に利用できるという。2022年2月10日に発表した。
NECが開発したのは、地上で撮影した景観画像から、その場所を推定するための技術。上空から撮影した衛星画像や航空写真などと照合することで、目印になる建築物が写っていなくても撮影場所を推定する(図1)。
新技術を使えば、例えば水害や地震などの自然災害が発生した際、市民が撮影した災害状況の画像から、被災場所や範囲、状況を把握できるようになるため、救助活動などの迅速化を支援できるとしている。
公開データセット(CVACT)による評価では、照合精度85.6%を達成したという(上空撮影画像8884枚の検索タスクによる検索上位1%の正解率。地上撮影画像の画角が90度の場合)。
場所の推定には、地上で撮影した水平方向の景観画像と、人工衛星や航空機から撮影した垂直方向の景観を高い精度で照合する。そのために、見え方が異なる2つの画像の特徴量の対応付けを学習する手法を開発した。これにより、(1)街中の広い範囲の場所の推定と、(2)時間の経過による変化への対応が可能になった。
広範囲の場所が推定できるのは、位置情報付きの衛星画像や航空写真と照合するため。従来は、目印となる建築物が写った位置情報付きの画像と照合していたため、目印がない場所などの推定は難しかった。
時間の経過による変化への対応では、建物や樹木など変化し得る被写体を景観から削除した画像を大量に自動生成して学習する(図2)。地上画像と上空画像の撮影時期が違い、その間に車の移動や建物の取り壊し、樹木の伐採などにより景観が変化していても、画像の場所を推定できる。
なお実際の使用では、撮影者の同意が得られた画像や写り込んだ人物を特定できない画像など、人権やプライバシーに配慮した画像の利用を想定している。