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貿易関連情報の連携プラットフォームの製品版、トレードワルツが提供開始

DIGITAL X 編集部
2022年7月22日

貿易取引で用いる文書を共有・蓄積するためのプラットフォームの製品版を、トレードワルツが2022年4月1日から提供している。製品版の提供にあたり、通関業務向けの輸出船積依頼/輸入荷捌依頼、輸出/輸入許可書保管などの機能を追加した。2022年3月30日に発表した。

 トレードワルツの「TradeWaltz」は、貿易業務で用いる文書を電子化して共有・蓄積するプラットフォームのクラウドサービス(図1)。ブロックチェーン技術を使って、文書データの原本性を担保し取引の透明性を高めている。2021年3月からトライアル版を提供し、48社が利用してきた。今回、製品版としての提供を開始した。

図1:「TradeWaltz」は貿易関連文書をやり取りするためのプラットフォーム。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い書類の改ざんを防ぎ原本性を担保する

 TradeWaltzが扱うのは、代金の支払い対象として実際の貨物の代わりに使う船荷証券(Bill of Lading:B/L)や、信用状(Letter of Credit:L/C)、送り状(Invoice:I/V)、保険証券(Insurance Policy:I/P)、船積指示書、海上貨物運送状など。

 これら関連文書を電子化することで、取引プロセスの簡素化や、書類の紛失・盗難などのリスクの低減、書類関連の作業時間やリードタイムの短縮、郵送コストの削減を図る。貿易実務におけるテレワークの実施も支援する。過去の実証実験では、44~60%の業務効率化が確認できたとしている。

 貿易書類の電子化では、構造化データ化を図り、関係者間で共有・蓄積できるようにする。その際に、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って情報の改ざんを防ぎ、電子文書の原本性・真正性と記録の不可逆性を担保することで、取引の透明性を高める。

 業務プロセスを管理することで、進捗状況の管理や、貿易関係者間での一貫したタイムリーな情報共有が可能になる。申請漏れなどを防ぐリスク管理にも対応する。

 書類を複製したり異なる金融機関へ持ち込んだりして不正に二重融資を受ける「ダブルファイナンス」や、マネーロンダリングなどの防止にもつながるとする。特恵関税適用申告に必要な原産地証明書(Certificate of Origin:C/O)の処理などの効率も高められるという。

 製品版では、トライアル版での機能に加え、通関業務向けの輸出船積依頼/輸入荷捌依頼、輸出/輸入許可書保管などの機能を追加した。今後も継続的に機能を拡張していく計画だ(表1)。

表1:「TradeWaltz」が2022年度に予定する拡張機能
カテゴリープロセス・機能提供開始月(暫定)
共通通知・メール、電子承認、アーカイブ2022年4月
輸出/輸入通関輸出船積依頼/輸入荷捌依頼(書類作成依頼、輸出/輸入通関依頼、荷役/荷捌依頼、船積予約依頼、付保依頼)、および輸出/輸入許可書保管2022年4月
決済書類決済書類の作成と送付2022年4月
原産地証明書(C/O)の申請と保管2023年4月
L/C信用状(L/C)の接受2022年7月
保険保険証券(I/P)と保険料請求書(D/N)の保管2022年7月
I/PとD/Nの発行依頼2023年4月
契約発注書(P/O)の送付2022年10月
契約締結など2023年4月
輸送船積予約(ブッキング)の依頼、船荷証券(B/L)の発行依頼と保管2022年10月

 文書管理のほかに、決済書類の作成・送付、通知・メール、電子承認、アーカイブの機能も持つ。いずれの機能もGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を使って操作できるほか、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて利用できる。

 トレードワルツによれば、貿易関連業務で紙の書類が多数使われており、実務者はテレワークができず出社を余儀なくされている。貿易書類の保管場所の確保や、紙の書類による煩雑な取引プロセスにより、多くの時間やコストが発生している。