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医療介護施設や福祉サービスの情報を統合し地域住民の社会参加を促すサービス、IIJが開始
地域にある医療介護施設やサロン、体操教室などに関する情報を統合することで高齢者を中心とした地域住民の社会参加を促進するためのサービスをインターネットイニシアティブ(IIJ)が開始した。自治体向け情報共有プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」のオプションとして提供する。2022年7月11日に発表した。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が開始した「地域資源連携オプション」は、地域の医療介護施設や、地域で開催されているサロンや体操教室などの福祉サービスなどに関する情報を一元化して提供するサービス(図1)。これらサービスを「地域資源」と位置付け、自治体からの情報公開や、専門職から支援対象者への情報案内およびマッチングを円滑にすることで、特に高齢者を中心とした住民の健康増進や介護予防に向けた活動を支援する。
地域資源連携オプションが提供する主な機能は2つ。1つは、地域資源の登録と公開である。自治体が持つさまざまな地域資源情報を登録し、ポータルサイト「地域資源マップ」上で公開する。
もう1つは、専門職による地域資源のマッチング機能。登録済みの支援対象者に対し、専門職が周辺の地域資源を検索し案内できるようにする。介護予防やフレイル予防など支援対象者が必要とする地域資源の利用を促す。
両機能で狙うのは、地域資源に関するデータの活用サイクルを生み出すこと。地域資源情報をオープンにすることで、住民や専門職による有効活用を促す。登録する地域資源には、買い物支援や、福祉タクシーなどの交通サービス、避難所などの災害対策などにも拡大し、日常生活から災害対応までにまで対応できるようにする計画である。
さらに、データ連携基盤機能の実装を予定する。地域資源を利用したい民間事業者との連携を促すもので、地域資源情報の提供だけでなく、事業者からのデータも受け取れるようにする(図2)。
IIJ公共システム事業部ヘルスケア事業推進部部長の喜多 剛志 氏は、「政府が推進するデジタル田園都市国家構想が重視する『データ連携』と『Well-beingの向上』に向けて、自治体がオープンデータ化を進め、地域資源のデータや利用状況のログなどを活用したデータ活用サイクルを回せるようにしたい」と話す。
地域資源連携オプションは、同社の「IIJ電子@連絡帳サービス(電子@連絡帳)」のオプションとして提供する。電子@連絡帳は、自治体と、地域の医療・介護・福祉に携わる専門職の情報連携を図るためのクラウドサービス(図3)。在宅医療や介護、医療的ケア児支援、防災や救急などの地域課題の解決が目的である。これまでに全国で71の行政・地域が採用し、約1万9000人の専門職と3万人超の支援対象者が登録している。
高齢者のフレイルや、孤立・孤独、介護度合いの深刻化といった課題が、コロナ禍において社会参加が難しくなり、より顕著になっている。厚生労働省は「地域包括ケア」「重層的支援体制整備」という事業により、自治体と地域の住民・企業が協力して対策に取り組むことを促している。
一方で、地域資源に関する情報は散在し、支援対象者が近くの地域資源を把握できないという課題もある。高齢者の社会参加を促すためには、地域資源に関する情報の可視化・オープン化、および効率的なマッチングが求められている。