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電話の内容や声の質から認知症の疑いを判定するサービス、NTT Comがトライアルを開始

愛甲 峻(インプレス総合研究所)
2022年10月7日

電話での発話内容と声の質から認知機能の変化を測定するサービスのトライアルをNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が始めている。認知症の疑いの有無を容易にチェックできるようにすることで、社会の認知症に関する意識を高め、早期発見や予防促進につなげたい考え。同サービスを組み込んだサービスを開発・提供する事業会社も募集する。2022年9月21日に発表した。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の「脳の健康チェックフリーダイヤル」は、電話で認知症の疑いがあるかどうかをチェックできるサービス(図1)。自動音声に従って、西暦での日付と曜日、年齢を答えると、その内容と声の質から認知機能の変化を測定する。変化を測定するだけなので医療行為には当たらないという。まずは2022年度末までを予定する無償のトライアルサービスとして提供する。

図1:「脳の健康チェックフリーダイヤル」の概要

 認知症患者は社会の高齢化に伴って増えており、2025年には高齢者の5人に1人が発症するとの予測がある。認知症患者が保有する金融資産の凍結といった問題もあり、企業活動への影響も指摘されている。

 ただ認知症は、治療やリハビリによって進行を抑止でき、軽度であれば回復できることから、早期発見が重要だ。脳の健康チェックフリーダイヤルの回答時間は20秒程度で、その簡便さからサービスの利用を促し、認知症の早期発見や予防・進行抑止などのアクションにつなげたい考え。NTT Com代表取締役副社長の菅原 英宗 氏は、「日常生活の中で電話だけで手軽に利用できるため、認知機能の変化に気づくきっかけにしてほしい」と話す。

 脳の健康チェックフリーダイヤルは、NTT Comの事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World」における「脳の健康チェックプロジェクト」から生まれたサービス。2021年にスタートしたOPEN HUB for Smart Worldでは、「カタリスト」と呼ぶ社内外の専門家と、顧客やパートナー企業と共に社会課題の解決を目指す。

 今回のサービスは、家族が認知症を発症した一人のカタリストの体験がきっかけだったという。システムは、認知機能の関連サービスを手掛けるパートナー企業の日本テクトシステムズ製の独自アルゴリズムと、NTT Comのフリーダイヤルとクラウドシステムを組み合わせた。

 共創プログラムとして、脳の健康チェックフリーダイヤルを組み込んで、新たなサービスを開発するパートナー企業を募集する。既に、保険会社や金融機関などの複数のパートナー企業が共創モデルの検討に着手しているという(図2)。2023年度以降に共創モデルの具体的な展開を目指す。

図2:脳の健康チェックプロジェクトの共創パートナー企業

 共創モデルの例としては、金融サービスとの組み合わせた金融取り引きや、運輸・建設・製造業での定期的なチェックによる安全確保などを挙げる。他にも、病院と連携した認知症の早期発見・受診、介護施設と連携した予防・ケア、脳の健康チェックと連動した健康関連商品/サービスの紹介、認知症に関するセミナー等での広報・啓発目的での利用も想定する。

 NTT Comビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部スマートヘルスケア推進室長の久野 誠史 氏は、「『認知症で不安になる本人・家族・企業が少なくなる社会へ』をコンセプトに、認知症に対する意識を高め、衰えを抑止できる世界をパートナーと共に作っていき、人生100年時代のQoL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指す」と話す。

 今後は、認知機能の低下をより早期に判定できる手法や、繰り返し利用される仕組みの検討、収集できるデータの分析・可視化機能などの開発・追加を予定する。