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スマホのデータから免疫力の変化を推定・予測するAI、ドコモが自治体に無償提供
スマートフォンで取得した行動データなどから所有者の免疫力の変化を推定・予測するAI(人工知能)アプリケーションをNTTドコモが開発した。ヘルスケア関連サービスを展開する自治体を対象に2023年11月から無償で提供していく予定だ。感染症対策に関する住民の意識付けや行動変容を促せるという。2023年5月8日に発表した。
NTTドコモが開発した「免疫力推定AI」は、スマートフォンで取得する睡眠や運動などの生活習慣情報や位置情報などから、所有者の免疫力の変化を推定・予測するAI(人工知能)アプリケーション(図1)。医療費や介護費の削減に取り組む自治体を対象に2023年11月から無償で提供し、住民へのより包括的な健康促進策の提供を支援するという。
免疫力推定AIは、生活習慣情報などと、ウイルスや細菌などの病原体による体内への侵入を防ぐ抗体「IgA」の分泌量の日常的な変化の関係性を学習することで、免疫力を推定する。生活習慣とIgAの分泌量が関連しているという医学的事実に基づいて開発した。生活習慣情報などはスマホ所有者の同意のもと活用する。
推定・予測した結果はスコアリングし、免疫力ケアに向けた推奨行動を週単位で提供する。住民に気づきを与え、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、風邪などの感染症への対策に関する意識や行動の変容を促す(図2)。自治体としては、推定結果に基づき、スコアリングの低減に影響を与えている生活習慣を特定し、その改善に向けたイベント誘導や健康指導の実施などにも取り組めるとしている。
免疫力推定AIは、健康状態や生活習慣などを推定するためのAI技術を集約した同社の「HealthTech(ヘルステック)基盤」上に実装する(図3)。同基盤が提供するAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を利用したサービス連携も可能である。
NTTドコモは、地域住民の健康維持・増進に取り組む自治体を対象に「健康マイレージ」サービスを提供している。ウォーキングなどの活動に応じてポイントを付与するヘルスケアのためのサービスだ。同サービスで取得しているデータを免疫力推定AIでも利用する。同社は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、自治体や住民による自立的な感染症対策が重要になるとみている。