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中堅・中小企業の生成AI活用などを産学連携で進めるプログラム、デル・テクノロジーズが開始

DIGITAL X 編集部
2024年5月17日

中堅・中小企業が生成AI(人工知能)技術の活用などDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む際に、大学が持つ知見を活用しながら進めるためのプログラムをデル・テクノロジーズが開始した。DX戦略の立案からシステム実装までを複数のサービスで支援する。2024年4月10日に発表した。

 デル・テクノロジーズの「DXイノベーションコネクト」は、中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を産学連携で進めるためのプログラム。企業が持つ実務経験と、大学が持つ先端技術や知見を組み合わせることで、人・モノ・金などの面で大企業並みの資源の投入が難しく、PoC(Proof of Concept:概念実証)にも進めない中堅・中小企業のDXへの取り組みを支援する。

 DXイノベーションコネクトは、奈良先端科学技術大学院発のベンチャー企業でAI開発を手掛けるdToshと共同で運営する。中堅・中小企業からの申し込みがあれば、取り組み対象を打ち合わせた後、最適な大学の研究機関をアサインし、共同研究・学術指導の具体的な内容と必要な費用を決定し、実際の取り組みを開始する(図1)。利用企業はDXイノベーションコネクトの問い合せフォームから申し込む。

図1:「DXイノベーションコネクト」の申し込みから利用開始までの流れ

 支援対象は、DXのための戦略立案から自動化などのシステム実装までをカバーする。その中で、生成AIの導入支援プログラムとして「ローカル生成AIパッケージ」も用意する。米MicrosoftのAI利用サービス「Azure Open AI Service」を使って、各社の業務に特化したシステムを開発する。

 ローカル生成AIパッケージのほかには、(1)DXワークショップ、(2)DX Learning Community、(3)ゼロタッチ タスク、(4)DXエンジニア養成講座の4つのプログラムを用意する。

 DXワークショップは、DXのための戦略策定と施策を具体化するために知的資産経営の専門家が伴走するワークショップ。企業の強みや課題分析、DX戦略の策定、将来の目標設定の3ステップで進める。

 DX Learning Communityでは、データ駆動型経営に向けたデータ分析・活用環境の構築を支援する。BI(Business Intelligence)ツールを用いたデータの加工から分析、考察、戦略立案までをハンズオンとグループワークで実習する。経営データ分析のための社内人材不足を解消する。

 ゼロタッチ タスクは、業務プロセスの自動化を支援するもの。「Windows 11」が標準搭載するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「Power Automate for desktop」(米Microsoft製)を使って実用に向けた設計図を作成する。

 DXエンジニア養成講座は、ビッグデータの整形・解析・マイニング、機械学習モデルの構築・評価の方法をプログラミング言語Pythonを使って習得するためのオンライン講義と演習。製品/サービスにAI技術を実装したいベンダーやサービスプロバイダーが対象で、参加費は無料である。

 デルによれば、生成AIなどの技術を使ってDXを実現している中堅・中小企業は8%(『中堅・中小企業IT投資動向調査2023追跡調査』)。一方で「活用したい」との回答は60%を超えている。ただDXの推進では、企業がどれだけの知見や知財などを持つかが問われ、コンサルティングファームと連携するにはコスト負担が大きいという課題もある。