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回転機器の設備異常を検知するAIシステム、シール材のバルカーとAI技術のRidge-iが共同開発

DIGITAL X 編集部
2024年5月2日

回転機器の設備異常を検知するAI(人工知能)システムを、工業用シール材メーカーのバルカーと、AI技術を開発するRidge-i(リッジアイ)が共同開発した。異常判定の基準になる、しきい値の設定にAI技術を適用し、専門家でなくても利用できるようにした。2024年4月9日に発表した。

 「VHERME(ベルム)」は回転機器の異常を検知するためのシステム(図1)。異常を判定するための、しきい値をAI(人工知能)技術が提案することで、設定に必要な専門的な知見がなくても運用できるようにする。バルカーが持つ回転機器の異常検知ノウハウと、Ridge-iのAI技術を組み合わせて開発した。

図1:バルカーとRidge-iが共同開発した設備異常検知システム「VHERME」の概要

 VHERMEではまず、機器にセンサーを設置し、正常稼働時の機器振動データを収集し、判定用のモデルを構築。通常運用中の正常時を示すデータを再学習しモデルの精度を高めながら、異常と判断するために、しきい値の推奨値を算出する。設置から約1週間で、推奨する、しきい値を算出し、本番運用に移れるとしている。

 両者によれば、設備の異常を検知するシステムにおいては、モデルの構築に正常データと異常データの両方を用いて学習する必要があるほか、しきい値を適正に管理するための専門知識が求められ、その運用が難しかったという。

 VHERMEは現在、オンプレミス版のトライアル提供を開始している。両者は、正式サービスの提供に向けた準備を進めるとともに、回転機器以外の領域でもセンシング技術を使ったシステム開発に取り組んでいく。

 VHERMEの利用料金は、サブスクリプション(月額課金)型とする。導入時は、バルカーがPoC(Proof of Concept:概念実証)を有償で実施し導入を支援する。バルカーが提供する設備点検サービス「MONiPLAT(モニプラット)」のCBM(Condition Based Maintenance)サービスの一部としても提供する予定である。