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日本の製造部門はクラウドや生成AIのROIを高く評価、米ロックウェル・オートメーションの調査

DIGITAL X 編集部
2024年5月21日

「日本の製造部門は他国よりもクラウドや生成AIの投資対効果が高いと評価」−−。こんな調査結果を米ロックウェル・オートメーションの日本法人が2024年4月26日に発表した。

 米ロックウェル・オートメーションの『スマートマニュファクチャリング報告書』(2024年)は、世界17カ国の製造部門を持つ企業1567社のマネジャーと経営幹部を対象に2023年9月〜10月に実施されたオンライン調査。

 過去1年においてROI(投資対効果)が高い技術について聞いたところ、グローバル、日本ともにトップは「クラウド/SaaS(Software as a Service)」、2位が「生成AI」だった。ただし、いずれも日本企業による評価が高く、クラウド/SaaSは世界平均の25.0%に対し日本は35.7%と10.7ポイント、生成AIは世界平均21.0%に対し26.5%と5.5ポイント、それぞれ高かった(図1)。日本の製造分野では、この1年に生成AIの実装が進んでいるようだ。

図1:製造部門を持つ企業が過去1年間にROI(投資対効果)が高いと評価した技術

 AI技術が2027年までに製造業務に影響を与える分野について日本のトップ3は「プロセス最適化」(37.0%)、「サイバーセキュリティ」(36.0%)、「持続可能性やESG関連の目標のコンプライアンスと追跡」(32.0%)だった。これに対し世界では「品質管理」(38.7%)、「サイバーセキュリティ」(36.65)、「プロセス最適化」(35.5%)の順になる。日本の製造部門は、AI技術による品質管理以上に、需給予測の精度向上など、既存プロセスの最適化を期待していると考えられる。

 日本、グローバル共に期待が高いサイバーセキュリティ分野において、ビジネスの成長に関連する外部からの阻害点として日本企業の45.0%が「サイバーリスク」を挙げる。ビジネス成果を生み出すスマートマニュファクチュアリングのための機能としても日本企業の43.0%が「サイバーセキュリティ」を選んでいる。

 製造DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としてデータの収集・活用が進むが、そのデータを効果的に使用できているかどうかについては、具オーバルの中央値は43.6%と半分を下回った。日本企業は、それをさらに下回り、「51〜75%」と「76〜100%」を選んだ割合が調査対象の17カ国の中で2番目に少なく、データ活用が効果的に進んでいない。

 ロックウェル オートメーションの日本法人であるロックウェル オートメーション ジャパンは、「日本では、さまざまなソリューションをバラバラに導入しており、データの蓄積から活用までがスムーズに行われていないことが背景として想定される」としている。

 なお今回の調査では労働力の高齢化についても聞いている。今後1年間で労働力の支障になる要素について、日本は「チェンジマネジメント(新たなプロセスや技術に対し順応すること)」と「労働力の高齢化」が共に36.0%でトップ。世界では「労働力の高齢化」は7位に留まっており、日本の製造部門が高齢化に対し強い焦りを感じていることが分かる。

 今後1年間の経営面での支障については、日本では「人材と各種リソースを効果的に管理すること」(37.0%)がトップだった。人材不足・熟練労働者不足への解決方法としては、日本企業の47%が「労働市場でも人気のない単純タスクの自動化」を挙げている。