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サプライチェーンの成熟度が高い企業は収益性が高い、アクセンチュアの調査

DIGITAL X 編集部
2024年9月10日

「成熟したサプライチェーンを有する企業は、そうでない企業に比べて収益性が23%高い」−−。こんな調査結果をアクセンチュが2024年7月18日に発表した。生成AI(人工知能)技術のサプライチェーンへの実装率も高く、新たなビジネス価値を生み出しているという。

 アクセンチュアの『次世代への一歩:サプライチェーンの変革(Next stop, next-gen)』は、日米欧などの15カ国で、航空宇宙、防衛、自動車、化学などの10業種におけるサプライチェーンに関する調査。2023年10月に、1148社、3000人以上の経営層を対象に実施された。

 アクセンチュアは回答者をサプライチェーンの成熟度で分け、上位10%を「リーダー企業」と呼んでいる。サプライチェーンの成熟度とは「生成AI(人工知能)や高度な機械学習といった先進テクノロジーをサプライチェーン全体で活用し、自律的な意思決定や高度なシミュレーション、継続的な改善につなげている度合い」を数値化したもので、成熟度が高い企業は「変化に迅速に適応し、新たなテクノロジーにもシームレスに対応している」とする。

 同調査によれば、リーダー企業の2019年から2023年までのEBIT(Earnings Before Interest and Taxes:利払前・税引前利益)は11.8%だった。これに対し、リーダー以外の「その他企業」は9.6%で、リーダー企業が23%高かった(図1)。株主還元率もリーダー企業の8.5%に対し、その他企業は7.4%で、リーダー企業が15%高い。

図1:リーダー企業と、その他企業の2019年から2023年までのEBIT(利払前・税引前利益)と株主還元率の違い

 ただサプライチェーンの成熟度は決して高くない。2019年から2023年で全体の平均スコアは50%以上上昇したにもかかわらず、平均値は36%に留まる。75%の企業が先進的な次世代サプライチェーン機能を保有していない(図2)。

図2:サプライチェーンの成熟度による企業の分布

 アクセンチュアは、成熟度を高めるための上記機能は、「企業が今日の市場環境で競争力を保つために不可欠だ」と指摘する。安定した経済成長や地政学リスクを伴わないグローバル化が期待できる時代ではないからだ。旧来の、グローバル規模でのコストを抑えた調達や、低コスト地域での工場操業などに頼ることは現実的ではないとする。

 実際、今回の調査では、リーダー企業のサプライチェーン全体で生成AIを含むAI技術を実装している割合は37%だった。その他企業のグローバル平均は6%に留まる。回答者全体でも9%、日本企業は15%であり、リーダー企業の実装率は、かなり高いといえる。

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