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経営幹部の7割がAI戦略とビジネス戦略の不整合を指摘、米テラデータの調査
「経営幹部の7割が、自社のAI戦略とビジネス戦略が完全に成功していないと考えている」−−こんな調査結果を米テラデータの日本法人、日本テラデータが2024年6月25日に発表している。AI技術がビジネスにもたらす影響について米テラデータがグローバルで実施した調査の結果である。AI技術への期待が高まる一方で、その活用に苦しんでいるのが実状のようだ。
今回の調査は、AI技術がビジネスにもたらす影響について、米テラデータが調査会社の米NewtonXに依頼して実施したもの。米国、欧州、英国、アジアにある従業員1000人以上、年間売上高7億5000万ドル以上の大企業と中堅企業にあって、AI戦略と、その実行を理解している経営幹部や意思決定者が対象だ。回答者全員が業務においてAI技術を担当または利用しているとする。
同調査によれば、回答者の70%が「自社のAI戦略が現在のビジネス戦略と完全に整合していない」とした。89%が「AIは競争力維持のために必要だ」と考えているものの、「自社に明確なAI戦略がある」との回答は56%、「AI戦略がより広範な事業目標と密接に連携・サポートしている」は28%だった。
AIのアウトプットの信頼性と妥当性に対して、61%が「十分に信頼している」と回答。だが、40%は「自社のデータが正確な成果を達成する準備がまだ整っていない」とした。こうした自己評価の背景には、「AIに高い信頼性を確保することは義務である」という認識の高まりがあるようだ。
ある回答者は「我々は、AIモデルのトレーニングに、どのようなデータが使用されたかを顧客に明確にしたい。間違ったトレーニングセットを選択してしまうと、AIモデルには簡単にバイアスがかかってしまう」と指摘する。別の回答者は「マスターデータ管理は華やかな仕事ではないが重要だ。なぜならAIはデータに基づいてすべてを判断するため、そのデータに欠陥があれば、AIの導き出すアウトプットに問題が発生するからだ」と述べる。
AI技術がもたらす最も大きなメリットとしては、「生産性の大幅な向上」(51%)と「顧客体験の改善」(50%)が上位に挙がる。しかし、顧客向けプロジェクトへの期待が高いにもかかわらず、実際には社内業務プロセスを効率化するプロジェクトに取り組むことを好む傾向がある。企業の成長促進よりも、AIのリスクを最小限に抑えつつ、コスト管理の改善が目的になっている。
調査によれば、AI技術の導入が成功しているケースのほとんどは部門レベルだった。「特定の部門でのみAIを導入している」のが39%あるのに対し、「全社的にAIソリューションを導入している」のは12%である。
AIの新規導入・投資に向けて、ステークホルダー全体を納得させるために取り組んでいるのは、「業務の効率化」と「実証済みの成功したユースケース」が74%で最も多かった。「意思決定プロセスの改善」も57%あり、実効果を示す必要があると考えていることが分かる。
また回答者の67%は、信頼できるAIを実現するためには「トップクラスのAIソリューションとのシームレスな統合を促進するベンダーやパートナーとの協業が非常に重要である」としている。