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生成AIの国内市場は2028年度に1兆7000億円強に、富士キメラ総研の調査
「生成AI(人工知能)関連の国内市場規模は、2028年度に2023年度比で12.3倍の1兆7397億円になる」--。こんな予測を富士キメラ総研が2024年12月3日に発表した。同市場の規模は、AI市場全体の6割程度を占めるという。
富士キメラ総研の『2025 生成AI / LLMで飛躍するAI市場総調査』は、AI(人工知能)市場を、サービス、アプリケーション、プラットフォーム、インフラのビジネスカテゴリー別に分類し、市場動向や参入ベンダーを分析したもの。
同調査によれば、2024年度のAI(人工知能)市場は、前年度比29.1%増の1兆4735億円が見込まれ、2028年度には2兆7780億円になると予測される。その拡大をけん引しているのが生成AIだ。生成AI市場は2024年度に前年度比3.0倍の4291億円が見込まれる(図1)。
富士キメラ総研は、今後はAI技術との併用・連携が進み、これまで以上の業務変革やイノベーション創出が可能になり、その導入が増加すると予想する。具体的には、回答精度を高めるRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)の活用や、既存の基盤モデルのファインチューニング(追加学習)による独自の基盤モデルの開発の活発化だ。
これらにより生成AIの適応業務領域が広がることで、2028年度の生成AI市場は2023年度比で12.3倍になる1兆7397億円を予測する。これは、AI市場全体の6割程度を占めるとみる。
本調査では注目市場として(1)大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)、(2)対話型生成AIチャットボット、(3)AI向けGPU(Graphical Processing Unit:画像処理装置)サーバー/GPUクラウドの3つを挙げる。
大規模言語モデルの市場は、2028年度に2023年度比15.3倍の1840億円を見込む。汎用的な業務の支援に加え、業界/領域特化型LLMが登場し、利用の裾野が広がり市場が拡大するとみる。
対話型生成AIチャットボットの市場は、2028年度に2023年度比6.7倍の180億円。多くのベンダーがAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を提供して市場参入しており市場拡大が予想されるという。一方で機能面での差別化が難しくなっており、価格競争が激化し低価格化が進んでいるという。
AI向けGPUサーバー/GPUクラウドの市場は2028年度に、GPUサーバーは2023年度9.6倍の2600億円、GPUクラウドは同11.5倍の2403億円を見込んでいる。GPUサーバーは、GPUクラウドサービスの提供目的での導入や、研究/教育機関向けの大規模導入が続いており、好調な市場拡大が予想されるとしている。
生成AIは、2022年の対話型チャットサービス「ChatGPT」の登場以降、注目度が急速に高まり、実用化に向けた取り組みが加速している。2023年度は、生成AIの学習用途を目的に、より高速かつ安定した計算処理を求めて、GPUチップの調達が困難になるほどに需要が高まった。