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機密情報を扱う業務用アプリのノーコード開発・実行基盤、日立が2025年9月から提供

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2025年1月31日

個人情報などの機密情報を扱う業務用アプリケーションをノーコードで開発・実行するための基盤サービスを、日立製作所が2025年9月から提供を開始する。日立が持つ匿名加工技術を使って機密情報を守りながら業務で利用するためのアプリケーションをノーコード開発できるようにする。2025年1月29日に発表した。

 日立製作所が2025年9月に開始する「匿名バンクノーコードプラットフォームサービス」は、個人情報などの機密情報を扱う業務アプリケーションを開発・実行するためのクラウドサービス(図1)。機密情報の漏えいリスクに懸念を持つ企業や自治体の担当者が、機密情報を扱うための業務アプリケーションをノーコードで開発・運用できるという。

図1:「匿名バンクノーコードプラットフォームサービス」のイメージ

 匿名バンクノーコードプラットフォームサービスは、日立の秘匿情報管理サービス「匿名バンク」と、システナのノーコード開発環境「Canbus.(キャンバスドット)」を組み合わせて実現している。

 活用例としては、個人情報を含む顧客・住民情報の管理、診療記録や健康データを運用する健康・医療情報管理、SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品構成表)などの開発情報管理などを挙げる。

 匿名バンクは機密情報を(1)秘匿化、(2)仮名化の2つの技術で管理する。秘匿化により、暗号化したデータを復号せずに検索・照合ができるようにする。暗号化後のデータは無意味なランダムデータと同等になり、データの管理者が持つ鍵でのみ復号でき、サーバー事業者やクラウド事業者は復号できない。

 仮名化では、氏名や住所などの個人特定情報と、購買履歴や健康情報などの仮名化データを別々に管理し、個人を直接特定できないようにする。個人特定情報は乱数化して保管し、プライバシーを守りながらデータの利便性を維持する。

 日立によれば、企業や自治体などではデータ流出や不正アクセスのリスクを防ぐためクラウドサービスの利用が制限されるケースが多い。機密情報を安全に扱える環境を提供することで、より多くの業務でのアプリケーション開発が進むとみる。

 匿名バンクノーコードプラットフォームサービスの利用料金は個別見積もり。