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【CES2025:モビリティ編】大手メーカー不在の展示会場で気を吐く日本勢、自動運転とEVの実用化が加速

自動車に続き農機・建機の自動化や空飛ぶクルマの出展も盛況

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2025年1月30日

世界最大規模の国際テックイベントになった「CES」。2025年に注目を集めたのがモビリティ関連分野である。ただ、会場の米ラスベガスコンベンションセンター(以下、LVCC)では、大手自動車メーカーが、ほぼ姿を消した。代わりにEV(電気自動車)や自動運転、交通システム関連のブースで埋め尽くされ、農機や空飛ぶクルマなどを含め、新技術の実用化が加速している。

 「CES(シーイーエス)2025」が、米ラスベガスのコンベンションセンター(LVCC:Las Vegas Convention Center)を中心とした複数の展示会場で、2025年1月7日から10日まで開催された。1400のスタートアップを含む4500以上の企業や団体が出展し、世界から14万1000人を超える参加者が訪れた。

 CESを主催するCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)は2024年に設立100周年を迎え、2025年からCESのロゴを刷新している(写真1)。従来の家電やPCの新製品発表の場に代わり、生活にもビジネスにも不可欠な最新技術を軸に、デジタル化の最新動向や次代に向けた視点を提案する場になっている。

写真1:「CES」はロゴが刷新されデジタル化の最新動向などを提案する場としての立ち位置を強めている

 CES2025で多くの参加者が詰めかけたのが、LVCCの西ホールをメイン会場にしたモビリティ分野の展示である。ただし、次世代コンセプトカーを発表する大手自動車メーカーは、ほとんど姿を消した。スマートシティ「Woven City」を打ち出したトヨタ自動車もメディア発表のみ、基調講演に登壇したボルボグループもブース出展はなかった。

 また今回は去年に比べてEV(電気自動車)メーカーの出展も減っていた。EV普及に消極的な姿勢を見せる米国のトランプ新政権が影響していると考えられる。

 代わりに会場を埋め尽くしたのは、車載コンピュータや各種センサー、通信機能など自動車業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に不可欠な最新技術。CASE(Connected:通信、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリングなどのサービス化、Electric:電動化)に象徴される新しいモビリティ時代が訪れようとしていることが実感できた。

最新技術を搭載する日本車が北米市場で発売

 大手メーカーが姿を消す中で新車を発表し注目を集めたのがホンダとAFFERA(ソニー・ホンダモビリティ)である。いずれも自動運転時代を意識した新しいEVを出展し、安心・安全を強調するADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)や、運転中の快適性を高めるシステムを展示した。

 ホンダが世界初公開した最新EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」のプロトタイプは、「SALOON(サルーン)」と「SUV」の2車種(写真2)。独自の自動車用ルOS(基本ソフトウェア)である「ASIMO OS」を搭載し、世界で初めて実用化した自動運転レベル3技術をさらに進化させる。2026年前半にSUVの量産モデルを北米市場へ投入し、その後グローバル市場へ販売を拡大する。

写真2:ホンダは最新EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」のプロトタイプ2車種を世界初公開した

 一方のAFFERAは、北米市場向けに2025年内の正式発売を目指す「AFEELA(アフィーラ ワン)」の価格と予約受付開始を発表した(写真3)。3年間のサブスクリプションを含む価格は8万9900ドル(約1400万円、1ドル156円換算)からで、2026年中旬の納車開始を予定する。

写真3:ソニー・ホンダモビリティは「AFEELA 1」の価格と予約受付開始を発表