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企業はリスキリングの効果を実感も時間と予算が課題に、ヒューマンアカデミーの調査
「リスキリングの効果について企業の95%が効果を実感している」−−。こんな調査結果を教育事業を手掛けるヒューマンアカデミーが2025年2月7日に発表した。中でも「社員のスキルの底上げ」が58%と最も高い評価だった。一方で、時間や予算面の制約がリスキリング推進の主な課題になっている。
教育事業を手掛けるヒューマンアカデミーが実施したのは、日本企業の人事・研修担当者300人を対象にリスキリングの状況や取り組みに関する調査。同調査によれば、企業がリスキリングを推進する理由としては「社員のスキルの底上げ」が65%で最多だった(図1)。それに「業務効率化や生産性向上」が60%、「デジタル化・DX化の推進」が58%で続く。
50%を下回ったのは「新たな技術やビジネスモデルへの対応」と「社員の新たな職種へのチャレンジ」だった。現時点では全社的なスキルの底上げやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に注力していると言える。
リスキリングのための研修やセミナーによって得られた効果に対し「特に効果はなかった」とする企業は5%に留まり、ほとんどの企業が何らかの効果を実感できていた。効果としては「各社員のスキルの底上げ」が58%で最も多く、それに「デジタル化・DX化の推進」が56%、「業務効率化や生産性向上」が55%で続く(図2)。
リスキリングを推進する際の課題としては「社員の学習時間の確保が難しい」を40%が挙げ、34%が「予算が十分に確保できない」とした(図3)。ヒューマンアカデミーによれば、リスキリング関連の助成金は勤務時間内での学習が要件に定められているケースが多い。業務と学習時間の確保の両立が大きな課題になっている。「特になし」とした企業は13%だった。
デジタル化の進展により業務スキルの見直しが迫られており、企業が市場での優位性を保ち成長を続けるためにはリスキリングの実施が重要視されている。石破首相が2024年10月の所信表明演説において、賃金向上と教育改革の実現に向けたリスキリングの支援拡充を宣言するなど政府も取り組みを本格化させている。