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医療関連データの2次利用ビジネスの市場規模は2030年に350億円、富士経済の調査
「医療ビッグデータの2次利用ビジネスの市場規模は2030年に2024年比で83.2%増の350億円に達する」−−。こんな調査結果を富士経済が2025年3月5日に発表した。マーケティング用途が中心ながら、新薬開発やオーダーメイド医療を目的とした利用が増えているという。
富士経済のレポート『製薬企業向けビジネスを見据えた医師向け注目人材・教育・情報プラットフォームビジネス市場』は、医師の紹介サイトや医師向け教育サービス、医療関連の情報プラットフォームやデータビジネスの国内市場を調査したもの。これによれば、これらを合計した国内市場規模は、2030年に2024年比で29.2%増加し2676億円になるとする。
このうち、今後の市場を押し上げていくのが、医療関連ビッグデータの2次利用ビジネスや高付加価値のデジタルプロモーション支援サービスだと見る。医療関連ビッグデータの2次利用ビジネスの市場は2024年に拡大し、2030年には2024年比83.2%増の350億円を見込む。
医療関連ビッグデータの2次利用ビジネスでは、レセプトや電子カルテのほか、検診情報や処方内容といったヘルスケアデータや病院経営データなどの活用が進んでいる。現時点ではマーケティング用途が中心だが、新薬開発やオーダーメイド医療を目的とした利用が増えているとする。
同市場には、レセプトや電子カルテなどの医療関連データを個人が特定されないよう匿名化処理しデータベースとして提供するサービスや、医療機関の経営支援といったコンサルティングサービスやヘルスケアデータと組み合わせて提案するサービスなどが含まれる。
デジタルプロモーション支援ビジネスでは、医師人材ビジネスで収集した医師の会員情報が、医療関連企業によるWeb講演会やメールの配信などのプロモーション用途に加え、講演会の集客や医師へのWebアンケートなどに活用されている。ハイブリッド形式の講演会や動画配信、MR(Medical Representatives:医薬情報担当者)やMSL(Medical Science Liaison:中立的な医療情報提供者)の派遣を組み合わせた医薬品や疾患情報の提供など、高付加価値のサービスが増えている。
一方、医師人材ビジネス市場は、医師紹介や求人サイトなどのビジネスが対象だ。医師の働き方改革に伴い、時間外労働の上限規制やオンライン診療の普及など、さまざまな勤務形態での求人数が増えているという。医師不足や医師の偏在は社会的課題になっており、過疎地域やハイクラス人材など募集が難しい求人に対しては紹介手数料も上昇し今後も市場拡大が続くと予想する。
教育コンテンツ・情報プラットフォームビジネスは、医師向けの動画配信サービスやWebサイト、アプリケーション、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などが対象になる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機に動画コンテンツの利用が増えたほか、医師人材ビジネスで収集した医師情報が許可を得たうえでプラットフォーム事業者のデータベースに蓄積され、医師を対象にしたサービスへの登録誘導に利用されている。
情報プラットフォームサービスの市場では、無料から有料サービスへの誘導が進み、有料サービス利用者が増えている。今後は、コンテンツの充実による会員増が期待されるとしている。