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福岡県、県民向けネットサービス充実に向けた官民データの連携基盤を構築

DIGITAL X 編集部
2025年4月17日

福岡県は、県民に向けたネットサービスの充実を目的に、官民が持つデータを連携させるためのデータ基盤を開発し、2025年4月1日に運用を始めた。同時に2つのサービスも開始した。同基盤は県内の市町村にも提供し、それぞれがサービス用アプリケーションを開発できるようにもした。基盤構築を支援した日立製作所が同日に発表した。

 福岡県が2025年4月1日に運用を開始した「官民データ連携基盤」は、県内の管民のそれぞれが持つデータを温暖的に連携するための基盤(図1)。自治体が管理している種々の業務関連データやオープンデータ、民間提供のデータの連携を図り、県民に提供する各種サービスの充実を図るのが目的だ。市町村にも開放し、人的・財政的リソースが限られる場合でも、それぞれがネットサービスを開発できるようにもした。

図1:福岡県が構築した官民データ連携基盤とサービスの概要

 同基盤を使ったサービスの第1弾として、(1)住民向け「福岡県ダッシュボードサービス」と(2)職員が利用する「ふるさと納税可視化・分析サービス」を開発し、同日から提供を始めている。

 福岡県ダッシュボードサービスは、避難施設や保育所、公共施設などの行政関連施設情報を、地図形式で表示するもの。行政情報を行政区を越えて容易に参照できるようにすることで、住民自身が避難所を選択したり引っ越し先を検討したりを支援する。

 表示する情報としては、各自治体が持つ施設データのほかに、九州先端科学技術研究所が運営する「BODIK(ビッグデータ&オープンデータ・イニシアティブ九州)」とも連携しており、施設の場所や種別、定員、バリアフリー対応などの最新情報を自動的に反映できるようにした。

 一方の、ふるさと納税可視化・分析サービスは、県や市町村が保有する寄付金データや返礼品の申し込み履歴などを集約・分析するためのもの。担当職員が、寄付者の属性別傾向や、返礼品の需要推移、PR施策の効果検証を確認するために利用する。AI(人工知能)技術による解析機能により、返礼品の需要予測や新たな返礼品開発のためのヒントも提供する。

 今後は、官民データ連携基盤を軸に、他県や民間とのさらなるデータ連携や、住民参画型の行政サービスの設計へと取り組みを広げていく。

 データ基盤は、日立製作所の「データ連携基盤サービス」を元に開発した。スマートシティ構築の標準指針である内閣府の「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ」に準拠し、今後の機能拡張のための柔軟性を確保しているという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名福岡県
業種公共
地域福岡市博多区(福岡県庁)
課題県民が利用できるネットサービスの充実を図り、満足度を高めたい。県内の各自治体では人的・財政的リソースが限られサービス開発が不十分になるケースがある
解決の仕組み官民が持つデータの連携基盤を構築し、各種サービスを開発できるようにする。同環境を県内市町村にも提供し、それぞれがサービスを開発できるようにもする
推進母体/体制福岡県、日立製作所
活用しているデータ福岡県内の各自治体が管理する業務データ、オープンデータ、民間データなど
採用している製品/サービス/技術「データ連携基盤サービス」(日立製作所製)
稼働時期2025年4月1日(運用開始時期)