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国内のDX関連投資額は2030年度に9兆2666億円、富士キメラ総研の調査
「国内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)関連投資額は2030年度に9兆2666億円」--。こんな調査結果を富士キメラ総研が2025年4月24日に発表した。業種別の投資額もまとめており、製造業や金融業などが投資をけん引している。
富士キメラ総研の『2025 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編』は、国内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)関連投資額を調査したもの。製造業、小売り/外食業、金融業、医療/介護業、交通/運輸/物流業、不動産/建設業、自治体、社会インフラ/その他の業種別投資額もまとめている。
同調査によれば、2030年度のDX関連投資額は9兆2666億円が見込まれる(図1)。うち製造業は2兆9843億円、交通/運輸/物流業は1兆1095億円、小売り/外食業は9644億円を占めるという。
2024年度の投資では、製造業や金融業、交通/運輸/物流業における投資が増加した。特に、データドリブンによる生産性向上やリードタイム短縮を目的に製造業の伸びが大きい。人手不足の影響を大きく受けている小売り/外食業でも投資が増えており、発注業務や決済業務など現場業務の効率化を図っている。
製造業
2024年度のDX関連投資額は前年度比22.2%増が見込まれる。地政学リスクへの対応や半導体など産業振興施策を背景に、国内の製造拠点や新工場の立ち上げが増え、スマートファクトリー関連への投資が拡大している。品質と生産性の向上を目指した生産現場への投資のほか、基幹業務のデジタル化が進んでいる大手企業を中心に、売上拡大や顧客接点拡充などへの投資がみられる。
人手不足や就業者の高齢化に対処する投資も増えており、引き続き関連投資の拡大が予想される。特に、IoH(Internet of Human:ヒトのインターネット)などの技術を活用した作業者データと各設備やシステムとのデータ連携・活用が増えるとみられる。
小売り/外食業
2024年度は前年度比14.6%増の5521億円が見込まれる。主に発注や決済業務などの効率化を目的とした現場DXと業務上のコミュニケーションを円滑化させるワークプレイスDXへの投資が大きい。人手不足が喫緊の課題であり、業務効率化や省人化への投資が増えている。
現場DXでは自動発注や需要予測ソリューション、フルセルフレジやモバイルPOSなどの導入が増えており市場拡大をけん引している。店舗と本部のコミュニケーション活性化により、人材の働きやすさを実現するワークプレイスDXも引き続き伸びるとみられる。
交通/運輸/物流業
2024年度の投資額は前年度比10.2%増が見込まれる。全般的にデジタル化が遅れていたが近年、直接部門および間接部門ともに投資が進んでいる。「2024年問題」の対応としてドライバーの業務効率化のためのシステム導入が多く、デジタル技術を活用した物流倉庫の運用効率化もみられる。
中長期的には、業務のデジタル化と共に、データ活用への投資が拡充すると予想される。特に、ICカード利用履歴をはじめとした顧客行動データの活用や、点在するデータの統合など顧客接点に関わるシステムの導入が進むとみられる。
注目市場:AIエージェントとDX人材アセスメントサービス
本レポートでは、注目市場としてAIエージェントとDX人材アセスメントサービスを取り上げている。AIエージェントへの投資額は2024年度が109億円、2030年度は1408億円が見込まれる。
DX人材アセスメントサービスの投資額は、2024年度が15億円、2030年度は50億円が見込まれる。