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日本の工場責任者の7割超が2040年までに新設する工場の完全自動化を望む、アクセンチュアの調査

DIGITAL X 編集部
2025年5月21日

「日本の工場責任者の74%は2040年までに新たに建設際は完全自動化工場(ダークファクトリー)を望んでいる」−−。こんな調査結果をアクセンチュアが2025年5月14日に発表した。自動化を望む傾向は日本を含むアジア各国で強く、欧米の希望を上回っていた。

 アクセンチュアの『ものづくりの未来に向けた変革を再考する(Rethinking the course to manufacturing’s future)』は、日本を含む11カ国の工場責任者を対象にしたアンケート調査をまとめたもの。

 同調査によれば、日本とアジア各国の工場責任者は「工場では2040年までに、人間の管理のもと、AI駆動の自己学習機能を持つ機械やロボットだけでほぼ完全に作業できるようになる」と“超自動化(ハイパーオートメーション)”に積極的である。

 特に、日本の工場責任者の74%が「2040年までに自社が新たな施設を建設する際に“完全自動化工場(ダークファクトリー)”を望むと回答した。中国は53%、米国は29%、ヨーロッパが20%であり、未来的で先進的な取り組みに対する日本企業の期待の大きさが顕著だった。

 自動化などに向けてAI(人工知能)技術やデジタル技術などについても、日本企業の利用意向は高く、欧米の工場責任者は、より慎重だ(表1)。だが「製造業の大きな変化は避けられない」との認識は共通だ。

表1:工場の自動化に向けた技術の利用意向
対象技術日本企業グローバル
オペレーションの自動化80%53%
生成AIを活用して自己学習する機械74%52%
完全に自動化された倉庫82%51%
スマートコネクテッド化されたセル生産方式82%49%
自律走行ロボット(AMR)83%49%
デジタル接続された作業チーム79%48%
オペレーションのデジタルツイン79%47%
無人搬送車(AGV)79%45%

 工場の自動化が進むことで、人々の働き方や役割、必要なスキルも変わる。多くの工場責任者は、高度な自動化への原動力となるのは「人材変革」であると回答(日本95%、グローバル70%)している。これは、自動化(日本90%、グローバル63%)、AI(日本91%、グローバル62%)、デジタル化(日本91%、グローバル61%)を上回る結果だった。

 大多数の工場責任者は「製造に関する知識の蓄積と共有が成功のカギだ(グローバル74%)と考えている(グローバル74%)。「日常業務にデータ分析を組み込むこと」(日本98%、グローバル73%)や「データに基づいた意思決定の重要性(日本96%、グローバル72%)」も強く認識されている。

 人材改革の障壁としては「研修プログラムへの多額の投資だ」と回答者のほぼ半数(日本52%、グローバル49%)が指摘する。「失業への恐怖心(日本48%、グローバル46%)」や「機械との協働や自律型物流の調整といった新たな役割への抵抗感(日本34%、グローバル38%)」も挙がる。工場責任者の51%は「AIに関するスキルや資格を持つ専門家の不足」を懸念しており、インドと日本は67%と高い。

 大多数の工場責任者は眼前のデジタル化対策に注力している。最も優先度が高いのは「サイバーセキュリティ」(グローバル77%)だ。これに「製造実行システム(MES)の実装」(70%)、「クラウドプラットフォームの実装」(67%)が続く。日本の優先事項トップ3は「サイバーセキュリティ」(95%)、「5G(第5世代移動通信)」(94%)、産業用IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」(94%)だった。