• News
  • 製造

製造・物流拠点の操業状態を可視化するデジタルツインの構築サービス、NSSOLが発売

DIGITAL X 編集部
2025年6月2日

製造拠点や物流拠点における操業状態を3D(3次元)のデジタル空間上で可視化するためのデジタルツインを構築するサービスを日鉄ソリューションズ(NSSOL)が2025年5月22日に発売した。製造業や運輸業、エネルギー業などにおける操業、保全・保安、物流の状態を一元的に可視化することで、事業拠点での意思決定速度を高められるという。同日に発表した。

 日鉄ソリューションズ(NSSOL)の「Geminant(ジェミナント)」は、製造拠点や物流拠点の操業状態を3D(3次元)空間で可視化するためのデジタルツインの構築サービス(図1)。統合データモデルを元に、各拠点の操業状態を示すデータを追加することでデジタルツインを構築し、3D対応の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)上で可視化する。いずれも同社のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)用のクラウド環境「IoXプラットフォーム」上で動作する。

図1:日鉄ソリューションズのデジタルツイン構築サービス「Geminant」の画面例

 データは時系列で管理し、建築と保守、機械と電気、本社と工場など、異なる業務・場所の間での連携・共有を可能にする。単一工場だけでなく全世界にある工場や営業エリアを対象にでき、操業状況を俯瞰的・視覚的に認識できるという。

 計画データや、NSSOLが保有する数理モデルによる最適化やシミュレーションによる結果を反映すれば、予実分析や異常予測などにも利用できるとしている。具体的な用途として、保安情報の一元化、災害時対策、工事シミュレーション、保全作業効率化、操業運転管理、車両運行管理などを挙げる。

 また同社の現場作業員を対象にした「安全見守りくん」や、稼働状態監視・予知保全、現品管理・トレーサビリティ・画像解析などが製造現場向けサービスが保有する各種データや、導入各社が持つ種々の運転データや図面データ、カメラ映像などと連携を図れば、Geminantを企業全対のポータルサイトとして利用できるという(図2)。

図2:「Geminant」は各種データを連携・統合するデータのポータルとしても機能する

 今後は、導入企業とPoC(Proof of Concept:概念実証)やプロトタイピングを通じてユースケースを増やし、それらを反映した機能拡張を図ると同時に、NSSOLが「データシンクロニシティプラットフォーム」と呼ぶ環境への拡張を目指すという。

 データシンクロニシティプラットフォームとは、関連する複数のデータに共通の管理IDを割り当てデータベースにしたり、複数データを自動で関連付けたり、生成AI技術により必要な情報をガイダンスしたりを可能にすることで、運用担当者が必要な情報を自ら探さなくても必要な情報にアクセスできる環境を指す。

 NSSOLによれば、製造業や運輸業などの現場では、「現場に行かないと現場の状況が分からない」「現場作業者が見たこと・感じたことを他の作業者・管理者とタイムリーに共有したい」「現場の操業状態を可視化し、時間・場所を問わず、誰にでも分かりやすい形で認識を共有したい」といった課題やニーズがある。

 Geminantの利用料金は、「Geminantベースライセンス」と「Geminant拠点ライセンス」からなる。前者は管理する拠点数に関係なく1社あたり1ライセンスが必要で、後者は1拠点ごとのライセンスだが、管理対象のユーザー数や登録データ数は問わない。

 ほかに、IoXプラットフォームの利用料金と、各社環境へのGeminantの構築や初期設定、URLの連携、管理対象にする拠点の建物内部の3Dモデルの作成、BIM(Building Information Modeling)データの埋め込み、最適化やシミュレーション機能の開発、投入データの意味付けなどの費用が掛かる。