卸売業のPALTAC、車両のCO2排出量削減に向け動態管理サービスを全拠点に導入へ

　PALTACは、化粧品と日用品、一般用医薬品を扱う卸売会社。配送などによるCO2排出量に対し「2030年までに2021年3月期比で50％減」という目標を掲げている。その一環として、約800台ある配送車両の動態を管理するサービスを全国19拠点に2025年度中に導入する（図1）。車両の位置情報を取得・分析することで、配送効率を高め、CO2排出量を減らすのが目的だ。

図1：車両の動態を監視し配送効率を示すKPIを可視化し最適化を図る

　動態管理により、車両ごとにドライバーの労働時間や店舗への到着・出発時間、荷役・待機時間など、同社が定めるKPI（Key Performance Indicator：重要業績評価指標）を可視化する（図2）。それらデータを元に配送計画と運行管理の最適化を図る考えだ。

図2：PALTACが全国に導入する動態管理サービス「MOVO Fleet」の画面イメージ

　全国導入に先行し、宮城・秋田エリアには2024年6月から導入している。納品先の店舗などでの滞在時間などのデータを取得し、滞在時間が長くなる傾向のある店舗の納品動線を関係者と連携して見直した。配送業務の可視化や改善活動に有効であると確認できたことから全国展開を決めたという。

　PALTACは中期経営計画において「配送改善の強化」を重点戦略の1つに位置づけている。共同配送などの改善策を組み合わせ、ドライバー不足にも柔軟に対応する配送体制の構築を進めている。自社や運送事業者が保有する配送関連データを集積・統合し、KPIを管理するための仕組みを整備することで配送マネジメント力を強化する。

　PALTAC 理事 物流本部長の五反 将史 氏は「全国の拠点に動態管理サービスを導入することで、ドライバーの働き方や業務負荷軽減に配慮しながら、より高い精度で配送マネジメントを実行する体制が整いつつある。可視化した配送業務情報をマネジメントに活かすことで配送のネットワーク化を図り、物流業界で懸念される『運べないリスク』の軽減に向け、今後も業界全体の持続可能性を高める活動を進める」と話す。

　動態管理サービスにはHacobuの「MOVO Fleet」を採用した。Hacobuは、PALTECのデータ分析業務も支援している。