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経営層の64%が今後5年間に倉庫の近代化に向け投資を増額、米ゼブラ・テクノロジーズの調査
倉庫業に携わる世界の経営層の64%が今後5年間に倉庫の近代化に向けた投資の増額を計画している−−。こんな調査結果を自動認識技術を手掛ける米ゼブラ・ テクノロジーズの日本法人が2025年5月14日に発表した。64%は今後5年間に倉庫を近代化するための投資額を増やすとしている。
米ゼブラ・テクノロジーズの『倉庫業界の展望に関するグローバル調査』は、製造、小売り、輸送、物流、卸の業界の従業員および経営陣1700人以上を対象にした調査である。
同調査によれば倉庫業務に対し世界の経営層の64%が「今後5年間に倉庫の近代化に向けた投資の増額を計画している」。業界規模の拡大が続き、日々の注文量が増加の一途をたどっており、経営陣は労働力の確保を加速させる必要があると考えているためだ。
世界の経営陣の多くは倉庫の拡張や自動化を実行または計画中で、その目的としては「エラーの軽減」(71%)と「SLA(Service Level Agreement:サービスレベル契約)の遵守」(70%)を挙げている。「自動化により作業員の効率および生産性が向上する」(54%)と考えているほか「注文エラーや手作業によるピッキングの削減が実現する」(53%)と期待する。
SLAの遵守では「在庫補充率」(51%)や「注文準備」(47%)の維持が困難だという。業務上の重大な課題としては「注文精度」(41%)と「出荷プロセス」(41%)を挙げる。テクノロジーの活用が進んでいるものの、EC(電子商取引)市場の拡大に伴い「最終消費者への迅速な配送」(37%)懸念材料になっている。
サプライチェーンネットワークにおける最大の課題としては「テクノロジーとインテリジェントオートメーションを活用したイノベーション」と「変化する顧客ニーズへの対応」を挙げている。
自動化に向けては世界の経営層の63%が「5年以内にAI(人工知能)ソフトウェアおよびAR(Augmented Reality:拡張現実)の導入を計画している」。AIアプリケーションに対する期待としては「潜在的な危険の検知や予防のためのアラート機能が業務改善につながる」(79%)「問題や異常検知に有効」(78%)「需要予測、在庫の最適化、スペースの有効活用に役立つ」(77%)が上位に挙がる。
モバイル端末を活用したAIアプリケーションについては「スタッフの安全確保、品質管理、在庫管理に大きな効果を発揮する」と考えている。82%が「倉庫スタッフに追加のテクノロジーツールを提供することが、生産性の目標達成を後押ししつつ、身体的な負担の軽減、労働災害の防止にもつながる」と考えている。「自動化が現場スタッフのやる気を向上させる」との回答も81%に上る。
こうした経営層の見方に対し現場スタッフは、倉庫運営への自動化の実装が遅れることへのリスクを指摘する。「倉庫運営を改善するテクノロジーに投資しなければ、業務目標を達成できない」と回答する現場スタッフは85%に上る。
また現場スタッフの74%が「自動化可能なタスクに時間を取られすぎている」と感じており、72%は「多忙化する倉庫内の安全性を懸念している」。そのうち70%は特に「労働災害のリスク」を心配していた。「倉庫内に資格を持つスタッフが不足しており、疲労や過労を懸念している」という現場スタッフは69%だった。
倉庫運営現場の課題解決に役立つと現場スタッフが考えているテクノロジーとしては、協働ロボット(88%)や、人間工学に基づいたモバイル端末(88%)、コミュニケーションアプリケーション(87%)、タスク管理ツール(91%)が挙がる。
特に、勤務先から業務に役立つテクノロジーツールや自動化ツールを支給されることに対して約9割の現場スタッフが「会社から評価されている」と感じているという。経営層も93%が「自動化およびモバイルテクノロジーの普及が、より多くのスタッフの採用と定着に役立つ」と考えている。