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主要産業に変革をもたらすテクノロジーの組み合わせ、世界経済フォーラムが発表

DIGITAL X 編集部
2025年6月24日

産業構造を変革するテクノロジーの組み合わせを世界経済フォーラムが2025年6月3日に発表した。主要産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とエコシステム対応のための投資を支援するのが目的で、企業の経営者による投資判断やエコシステムの戦略的な構築に利用できるとしている。

 世界経済フォーラムの『テクノロジーコンバージェンス・レポート』は、インフラ、エネルギー、輸送、医療分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進につながる先端テクノロジーの組み合わせを分析したもの。コンサルティング会社の仏キャップジェミニの協力を得て、テクノロジー特定するための「3C(Combination:組み合わせ、Convergence:融合、Compounding:複合化)フレームワーク」を導入している。

 3Cフレームワークでは、個々の技術革新だけでなく、テクノロジーの組み合わせが生み出すインパクトに着目している。加えてAI(人工知能)技術が多くの相乗効果を商業的に実現可能にしていることから、同技術を主要イネーブラーとして強調している。

 テクノロジー領域としては、成熟度と展開目的を考慮し、8つの重要な分野(AI:人工知能、オムニコンピューティング、エンジニアリングバイオロジー、空間知能、ロボティクス、先進材料、次世代エネルギー、量子技術)から230超のサブコンポーネントを対象にし、ポテンシャルの高い23の組み合わせを特定したという。特に注目すべきテクノロジーの組み合わせ例として以下を挙げる。

認知ロボティクス

 エージェント型AIと、空間知能、操作と適応制御におけるロボティクスの進歩により、自律システムが複雑な環境で知能的な意思決定を下せるようになり、自動車産業とスマート製造の進展を促進している。

デジタルツインエコシステム

 センサーネットワークとAIシミュレーションシステムの進展により、デジタルツインの機能が強化され、一層統合の進んだエンドツーエンドのインパクトを実現し、航空宇宙から医療までの多様な分野で、効率性と適用範囲を拡大している。

ハイブリッド量子古典コンピューティング

 量子テクノロジーと古典的コンピューティングシステムの信頼性を組み合わせるアプローチにより、すでに金融、分子シミュレーション、複雑な最適化の分野で量子テクノロジーの潜在力が活用されている。

マテリアルズ・インフォマティクス

 予測モデリングおよびトランスフォーマー技術は、材料の組成や構造を実験室で合成する前の仮想テストを可能にし、先端材料の研究開発を加速。製造業や化学産業をはじめとする幅広い分野に革新がもたらされている。

 本レポートは、今回の洞察を実行に移すための実践的ガイドとしては、システム思考アプローチと、テクノロジーの成熟段階に応じたバランスの取れた投資、バリューチェーンの再配置、エコシステム対応に向けた準備の重要性を強調している。世界経済フォーラムの「テクノロジーコンバージェンス・コミュニティ」からの定性的・定量的洞察に基づいている。

 同コミュニティは、世界経済フォーラムのグローバルネットワークに属する企業とアカデミア、市民社会、パブリックセクターのリーダーたちで構成され、各分野の専門家チームが、専門知識とケーススタディを提供している。加えて、キャップジェミニが18カ国、10業界、5大陸の2000人のシニアエグゼクティブを対象にした調査結果も反映されているという。