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産業用データを企業間や業界内で流通・連携する「データスペース」構築サービス、NTTデータが提供へ

DIGITAL X 編集部
2025年7月4日

産業用データを企業間や業界内で流通・連携するための「データスペース」を構築するサービスをNTTデータが2025年7月に開始する。複数の組織がデータの主権を保ちながら相互のデータを用いたデータ活用を可能にする。データ連携の構想策定段階からのコンサルティングや、データ連携基盤、関連する機能などを提供する。2025年6月30日に発表した。

 NTTデータが2025年7月に開始する「X-Curia(クロスキュリア)」は、産業用データを企業間や業界内で流通・連携するための「データスペース」を構築するためのサービス。複数の組織がデータの主権を保ちながらデータを流通させ、それぞれのデータを組み合わせたデータ活用などを可能にする。データ連携の構想策定段階からのコンサルティングや、データスペースのためのデータ連携基盤、データ活用に必要な機能などをワンストップで提供する。

図1:NTTデータの「X-Curia(クロスキュリア)」のサービス提供範囲

 データスペースは、国境や分野を越えた経済空間や社会活動空間を指し、複数の組織間でのデータ連携を容易にすることで、データの安全性や信頼性を確保しながら、より大量かつ多様なデータに基づく意思決定や新サービスの創出などを目指すもの。欧州を中心に注目され、そのためのルールやリファレンスアーキテクチャーなどの策定が進んでいる。

 X-Curiaでは、業界や企業グループなどの単位でのデータスペースの構築から運用までを支援する。製造、物流、医療、金融、エネルギーなどの業界データスペースの構築を検討する業界団体やコンソーシアム、複数の企業や部門を界横断したデータ連携・活用を目指す企業、および、データエコシステムの形成を推進する官民組織などを対象に挙げる。

 サービスは、導入までのコンサルティングと、導入・運用のためのデータ基盤や必要な機能の提供とに大別できる。コンサルティングでは、構築したいデータスペースの構想策定や、ルール・制度の確立に向けたロードマップ策定、そのためのステークホルダーの巻き込みなどを支援する。業界横断での合意形成や制度設計などにも対応するという。

 導入・運用段階では、NTTデータの専門チームが環境構築や機能選定、設計、運用体制の整備などを支援する。

 データ連携基盤として、政府機関などが策定したデータスペースのリファレンスアーキテクチャーに対応した機能を用意する。例えば、認証・認可の仕組みやデータ交換のためのコネクター、外部システムとのセキュアな連携、機密データの統合分析などだ。自社データを開示することなく統合的にデータを処理するための機能も予定する。

 データスペースの構築に対してNTTデータは、国内外の企業・研究機関と連携し技術開発や実証に参加してきた。2024年5月にはEV(電気自動車)向けバッテリーのカーボンフットプリント情報を企業間で共有するための基盤の提供も始めている。こうした知見をX-Curiaとして提供する。

 すでに複数の業界で実証や導入が進んでいるとし、2030年までに500億円規模での売り上げを目標にする。

 NTTデータによれば、課題解決や新たなサービス開発のためにデータスペースを望む動きが進んでいる。だが、自社データを他社と共有するためには、データ主権の確保やセキュリティー面での安全性の確保などが課題になっている。