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産業廃棄物のトレーサビリティサービス、サトーが開始

ANDG CO., LTD.
2025年7月9日

産業廃棄物のトレーサビリティサービスをサトーが2025年7月1日に開始した。解体・選別・圧縮などの処理工程の履歴を記録し関係会社間で共有できるようにする。工程データはRFID(ICタグ)や二次元コードを使って取得し、再資源化時の透明性の確保や再生材の品質証明などに利用できる。同日に発表した。

 サトーの「Trace eye Circular Economy」は、製造業やリサイクル業界を対象にした産業廃棄物のトレーサビリティ(追跡)サービス(図1)。解体から選別、再資源化までの履歴を管理しリサイクルの流れを透明化するとともに、再生材の品質を証明し流通価値を高められるとする。2025年7月1日に提供を開始した。システムはAWS(Amazon Web Services)のクラウド環境で動作している。

図1:サトーの「Trace eye Circular Economy」の画面例。左は廃棄物の受け入れ状況を示す画面、右は管理者用の画面

 Trace eye Circular Economyが管理するデータは、ブラウザを使って確認できる。データ分析により、廃棄物の解体方法や温室効果ガス(GHG)の排出量、リサイクル率、再生資源の品質情報(グレード)などが算出できる。

 そのためのデータは、廃棄物の収集容器にRFID(ICタグ)や二次元コードを貼り付けて取得する。現場の作業者は、ハンディスキャナーやスマートフォン、タブレット端末などを使って読み取り、それぞれの識別子(ID)に紐付ける。

 具体的には、廃棄物の回収時にまず、廃棄物の種別や重量を記録・登録する。その後、解体や選別、圧縮といった工程ごとに、選別した素材や、どのような処理をしたかを追加していく。結果、どの廃棄物から、どのような価値のある素材が、どれだけ取り出せたかが把握できるとする。リサイクル現場で実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)では、現場の運用における有効性が確認できたという。

 今後は、EU(欧州連合)地域での導入が予定されるデジタル証明書「デジタル製品パスポート(DPP:Digital Product Passport)」との連携も視野に入れる。DPPは、製品ごとの材料構成やリサイクル性、修理履歴などを記録・共有する仕組みで、環境情報を開示するための取り組みとして注目されている。

 国内では、SDGs(持続可能な開発目標)に対する社会的意識の高まりを背景に、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向けて環境省が「再資源化事業等高度化法」の整備を進めている。

 サトーによれば、廃棄の処理工程では、物性や物量、処理状況などがブラックボックス化しやすく、全体像の把握が困難である。