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業務知識などを含む文書を参照しながらシステム開発を自動化するAIエージェント、NSSOLが発売

DIGITAL X 編集部
2025年7月31日

業務知識などが書かれた文書などを参照しながらシステム開発に必要な各種文書やプログラミングコードを自動生成するAI(人工知能)エージェントを、日鉄ソリューションズ(NSSOL)が2025年7月に発売した。人とAIエージェントの双方が理解できる文書を参照・作成することで、業務ノウハウなどを取り込み、よりニーズに即したシステムの開発・運用を支援する。2025年7月28日に発表した。

 日鉄ソリューションズ(NSSOL)の「NSDevia(エヌエスデヴィア)」は、システム開発のためのAI(人工知能)エージェント。要件定義から設計、プログラミング、テストまでの工程をカバーし、各工程で必要な文書やプログラミングコードを生成する。いずれの工程も自然言語によるチャット形式で進められる。

 NSDeviaでは、各工程で生成する文書を、人が読み書きできるだけでなく、AIエージェント側でも参照・修正ができる「AI Readyなドキュメント」として蓄積・管理するのが特徴だ。AI Readyな文書を人とAIエージェントが参照・共有することで、各社の業務ノウハウなどを反映したプログラミングコードの生成が容易になるとしている(図1)。

図1:NSDeviaでは「AI Readyなドキュメント」を人とAIエージェントの双方が参照・共有することで業務ノウハウを取り込んでいく

 文書は作成・修正履歴も管理し変更の追跡を容易にする。コーディング規約などの指示内容を文書化すれば、シンプルなプロンプトからも高い精度で成果物を生成できるという(図2)。業務ノウハウなどを記載している既存文書の取り込みにも対応し、過去の資産を活かした開発が可能になるとする。

図2:日鉄ソリューションズが販売する「NSDevia(エヌエスデヴィア)」の画面例

 これらにより、レガシーシステムのモダナイゼーションや、既存システムの改修や機能追加といった保守・運用業務の効率化と知見の継承、新規システムにおけるQCD(品質・コスト・納期)の最適化などに利用できるという。既に導入を進める顧客企業があり、その中には、要件定義の工程に利用しシステム開発時の発注精度を高めることを狙う企業もあるという。

 NSDeviaはWebブラウザー上で使用するほか、主要な開発環境に組み込むためのプラグインも用意する。対応する開発環境は「Visual Studio Code」(Microsoft製)と「JetBrains IDE」(チェコJetBrains製)、「Eclipse IDE」(オープンソースソフトウェア)である。

 NSDeviaは、2025年1月にテクノロジーパートナー契約を結んだJiteraが開発するAIエージェント「Jitera」を、NSSOLの全社共通のITサービス基盤「Nestorium」上に構築し提供するサービスになる。SaaS(Software as a Service)としての提供のほか、専用環境からの提供と、オンプレミス環境への構築にも対応する。

 今後は、プロジェクトマネジメント支援、テストや運用業務の自動化などのサービスを追加していく計画だ。

 NSSOLによれば、システム開発では、ITに関する知識だけではなく、対象業務やシステムに関するドメイン知識が不可欠である。にもかかわらず、そうした知識を正確に文書化し継続的に維持することが難しく、システム開発時の課題になっている。