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サプライチェーンの在庫最適化などに向けたデータ統合・分析基盤、日本IBMが2025年10月に提供開始

DIGITAL X 編集部
2025年9月16日

サプライチェーンにおける在庫の最適化や種々のリスクへの対策など管理者の意思決定を支援するためのデータ統合・分析基盤サービスを、日本IBMが2025年10月に提供を始める。2025年9月10日に発表した。

 日本IBMの「Supply Chain Ensemble」は、サプライチェーンにおける在庫の最適化やサプライヤーや地政学的な混乱などによるリスクの可視化および、その対策を導き出すためのデータ統合・分析基盤。生産・調達・物流・販売など複数の関連業務プロセスや関連システムのデータを統合し、その分析による需要予測や各種リスクの可視化などによりサプライチェーン管理者の意思決定を支援するという(図1)。

図1:「Supply Chain Ensemble」の全体概要

 Supply Chain Ensembleでは、需要予測やリスク分析のために、社内のERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムやTMS(Transport Management System:輸配送管理システム)、SCM(Supply Chain Management)システムなどのデータのほか、サプライヤーのERPやTMSのデータ、部品や製品にかかる関税情報や地政学的なリスク情報などを統合し、IBMのAI製品群「watsonx」で分析する。

 これにより、需要や供給の変動による在庫の変化を予測したり、外的変化によるオペレーションへの影響をリアルタイムに分析したりが可能になるという(図2)。例えば、適正在庫数量に合わせて供給量を適時調整でき、過剰在庫を10〜15%程度の削減が見込めとする。

図2:サプライチェーンの管理者に、優先すべき課題や対応状況(左)から、AI分析による洞察や対応策(右)を提示する

 また、関税の変更に関連して起こる需要や損益の変更といったリスクを見いだし、それへの具体的な対応策を提示する。サプライチェーンの管理者や担当者の業務効率が10〜20%程度向上した先行事例もあるという。

 Supply Chain Ensembleは、米IBMが顧客のサプライチェーンの効率化を支援してきた知見と自社での業務改革ノウハウを元に開発したとする。日本IBMによれば、地政学リスクの変化により、企業のサプライチェーン管理者は、サプライチェーンの組み替えや調達先の状況を考慮しながら需要変動に対応する必要があり、サプライチェーンの混乱やリスクに対する予測・対応能力の強化が求められている。

 Supply Chain Ensembleは2025年10月から国内での提供を開始する。利用のためのトレーニングやメンテナンスなどの支援も強化するとしている。