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AIと「IBM i」で基幹システムを再構築するサービス、日本IBMが開始

DIGITAL X 編集部
2025年10月7日

基幹システムをAI(人工知能)技術と、同社の基本ソフトウェア「IBM i」を使って再構築するサービスを日本IBMが2025年10月2日に開始した。生成AI技術を使ったプログラム開発や自然言語によるデータ活用などにより、特定の技術者に頼らない開発・運用が可能にいるという。同日に発表した。

 日本IBMが開始したのは、基幹システムをAI(人工知能)技術と同社の基本ソフトウェア(OS)である「IBM i」を使って再構築するサービス。新開発のERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムを提供するほか、生成AI技術によるアプリケーションプログラムの開発・保守、自然言語によるデータ活用などを可能にする。

 IBM iは旧「AS/400(その後「iSeries」「System i」にブランド変更)」のアプリケーション動作環境を引き継ぐOSで、Powerサーバー上で動作する。データベースやミドルウエアの機能も包含し、AS/400時代から事業部門による内製開発を含め、現場のニーズに即した種々のアプリケーションが開発・運用されてきた。

 新サービスでは、これらのアプリケーションを代替したり、新しいアプリケーションを容易に開発・保守できるようにすることで、特定の技術者によるアプリケーション開発に依存しない開発・運用体制とともに、各種データの検索や抽出、分析などデータ駆動型の経営環境の構築を支援する。

 具体的な施策として(1)ERPシステムの開発、(2)オープン系アプリのためのデータベースの再構築、(3)COBOLアプリとデータベースの移行の3つを用意する。

 ERPシステムの開発では基幹業務用アプリをパッケージにした「IBM ERPフレームワーク」を開発する。販売管理、生産管理、経理、給与、ワークフローに対応し、AI技術によるカスタマイズも可能にする。

 データベースの再構築では、AIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)といった技術に対応できる統合データ基盤を構築し、オープン系アプリからの利用を可能にする。大量のトランザクションに対応するほか、既存アプリと同様の方式でリアルタイムに接続したり、AI技術を使ってデータをリアルタイムに分析したりを可能にする。インメモリーデータベースを使うことで、基幹業務とAI分析の双方が求める処理速度を実現すると同時に、データ分析のためのDWH(Data Ware House)が不要になるとする。

 またアクセス制御や監査などセキュリティー管理機能を標準で提供し、基幹データを含めた重要情報を保持・運用できるとしている。

 COBOLアプリとデータベースの移行では、既存のメインフレームやオフコンで稼働するCOBOLアプリとデータファイルをIBM i上に移行する。業務ノウハウを元に開発された既存のアプリとデータを活かしながら、AI技術を組み合わせた利用を可能にする。

 いずれの施策も、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウドのいずれの環境にも対応する。2025年10月2日からはデータベースの再構築とCOBOLアプリの移行の両施策の提供を開始している。ERPシステムは、2025年末から国内パートナー企業が導入サービスを開始する予定である。