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イトーキ、自動倉庫の保守サービスに予知保全とリモートメンテナンスを追加

DIGITAL X 編集部
2025年11月10日

イトーキは、自動倉庫システムの保守サービスに予知保全とリモートメンテナンスを追加し、2026年1月から提供を始める。AI(人工知能)技術を使い部品の交換時期を通知したりシステムの停止時間を最小にしたりが可能になるという。2025年11月5日に発表した。

 イトーキの「ITOKIアドバンスドメンテナンス」は、自社製品のシャトル式自動倉庫システム「システマストリーマー SAS-R」を対象に、AI(人工知能)技術を使った予知保全とリモートメンテナンスを提供する保守サービス(図1)。2026年1月から提供を開始する。

図1:「ITOKIアドバンスドメンテナンス」における予知保全の流れ

 イトーキの代表取締役社長である湊 宏司 氏は「物流やインフラの現場では、人手不足や設備の老朽化といった課題が顕在化し、社会全体で『止めない運用』が求められている。突発的なシステム停止の最小化や保全計画の高度化により稼働率の向上とTCO(Total Cost of Ownership:所有総コスト)の最適化を同時に推進する」と話す。

 ITOKIアドバンスドメンテナンスでは(1)予知保全のための「スマートメンテナンス」と(2)遠隔からの状況把握や復旧を支援する「リモートメンテナンス」の2つの機能を提供する。

 スマートメンテナンスでは、シャトル台車やリフターなどの設備に取り付けたセンサーや制御装置から自動倉庫の稼働時間や動作回数、動作距離などの稼働データを取得し、異常検知アルゴリズムを使って設備の状態を把握し故障の兆候を検知し、部品の交換タイミングを通知するなどで、従来の時間ベースの保守では対応し切れなかった突発的な故障リスクの軽減や保守業務の最適化が図れるとしている。

 異常検知のアルゴリズムでは、設備データを基に設備の状態を学習・推定する。拠点や季節によって生じる稼働データの差を補正し、ノイズを除去するなどを実施した後に、設備構造や動作特性といった業務知見と解析技術を組み合わせ、異常を高い精度で捉えられる特徴量を設計したとしている。しきい値ベースの監視では検知が難しい微細な変化を捉えられるという。

 一方のリモートメンテナンスでは、稼働データやログを元に、設備の状態を遠隔から確認できる。制御盤(LCU:Local Control Unit)の画面操作や一部ソフトウェアの更新により、トラブル発生時の復旧時間の短縮につなげる。故障の兆候から、機器の入庫を制限し出庫のみを継続することで全体への影響を局所化するためにも利用する(図2)。

図2:「リモートメンテナンス」による入庫制限の流れ

 AIモデルの開発には、機械学習モデル開発・実行基盤「Oracle Cloud Infrastructure Data Science」(米オラクル製)と、データベース「Oracle Autonomous AI Database」(同)を利用している。

 イトーキによれば、物流現場では自動化・省人化が急速に進む一方で、突発的な設備停止による生産や計画への影響が大きなリスクになっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名イトーキ
業種製造
地域東京都中央区(本社)
課題自社製品のシャトル式自動倉庫システム「システマストリーマー SAS-R」における突発的な設備停止のリスクを低減したい
解決の仕組み設備の稼働データなどから故障の予兆を検知できるAIアルゴリズムを開発し、リモートメンテナンスと組み合わせることで予防保全や遠隔からの被害の最小化を可能にする
推進母体/体制イトーキ、日本オラクル
活用しているデータシャトル台車やリフターといった設備、制御装置の稼働時間や動作回数、動作距離などの稼働データ
採用している製品/サービス/技術機械学習モデル開発・実行基盤「Oracle Cloud Infrastructure Data Science」(米オラクル製)、データベース「Oracle Autonomous AI Database」(同)
稼働時期2026年1月(保守サービスとしての提供開始時期)