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精密機器の日本電子、ERPの再構築に備え全社データの統合・分析基盤を刷新
精密機器の日本電子は、2026年5月の新ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムの再構築に備え、全社データを統合・分析するための基盤を刷新した。海外子会社を含めたデータ連携を含め、データのサイロ化を解消に全社でのデータ分析を加速するのが狙い。基盤構築を支援したジールが2025年11月26日に発表した。
日本電子は、精密機器や理化学機器などのメーカー。電子顕微鏡では世界トップシェアを持つ。現在、ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムの再構築に取り組んでおり、2026年5月の切り替えを予定する。それに備え、ERPを含めた全社データを統合・分析するための基盤となるDWH(Data WareHouse)を刷新した。既に一部業務では分析速度の向上が確認できているという。
新しいDWHには、ERPシステムに加え、営業支援システムや各種業務システムのデータをETL(Extract、Transform、Load)ツールで連携しデータ統合を図る。海外子会社とのデータ連携やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データも取り込んでいく考えだ。
加えて、将来の生成AI(人工知能)技術の導入を視野に、複数のデータソースを対象にしたRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術のPoC(Proof of Concept:概念実証)を始めている。
DWHの基盤には「Snowflake」(Snowflake製)を、ETLツールには「TROCCO」(primeNumber製)を採用し、クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」(米AWS)上で稼働させている。構築ではDWH製品などを扱うジールの支援を受けた。
日本電子はこれまで、DWHをオンプレミスのデータベース上に構築し運用してきた。ただデータ連携がERPシステムに限定されており、データはサイロ化していた。多面的な分析に向けてはExcelやAccesなどを使った2次加工、3次加工が常態化していた。加えて、長年の運用でDWHのデータ量が膨大化し、性能の低下やディスク容量のひっ迫が発生し、作業のたびに不要なデータを削除していた。
同社は2013年から組織や事業分野の枠を超えて有機的・横断的に組み合わせることで顧客ニーズに応える事業戦略「YOKOGUSHI」を推進してきた。現在の中期経営計画「Evolving Growth 2.0 -A New Horizon-」では「YOKOGUSHI 2.0」への進化を掲げ、機器/機能、アプリケーション/サービス、共創の3軸での価値の最大化に取り組んでいる。今回のDWH刷新は、その一環である。
| 企業/組織名 | 日本電子 |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 東京都昭島市(本社) |
| 課題 | 組織/事業を横断しての成長戦略を実現するためのは全社データを扱えるデータ統合・分析基盤が必要だが、既存のDWHはERPシステムとだけ連携しており、他システムのデータ活用が難しかった。性能の低下やディスク容量のひっ迫も発生していた |
| 解決の仕組み | ERPシステムの再構築に併せDWHを刷新し、海外子会社を含めた全社データを統合・分析できるようにする |
| 推進母体/体制 | 日本電子、ジール |
| 活用しているデータ | ERPやSFA、各種業務システムが持つデータ、IoTデータ |
| 採用している製品/サービス/技術 | DWH「Snowflake」(米Snowflake製)、ETLツール「TROCCO」(primeNumber製)、クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」(米AWS製)、RAG構築サービス「RAG構築ソリューション(生成AI・マルチクラウド対応)」(ジール製) |
| 稼働時期 | -- |