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SDV時代のECUソフトウェア開発には信頼性と効率を両立できる支援ツールの選定を

「第11回 オートモーティブ・ソフトウェア・フロンティア 2026 オンライン」より、ユビキタスAI エンベデッド第3事業部 担当部長の植田 宏 氏

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2026年4月6日

ECUソフトウェアの挙動をシミュレーションし検証

 もう1つのツールが、ユビキタスAIが精密機器メーカーのエー・アンド・デイと共同開発したシミュレーター「GSIL」だ(図2)。PC上にECUの実行環境を仮想的に作成し、エンジン、トランスミッション、ボディといったECUソフトウェアの実行をシミュレーションし、その動作を検証する。

図2:「GSIL」はECUソフトウェアの実行をシミュレーションし動作を検証する

 GSILは実機なしに動作検証できるため、開発者がコードを実装したり変更したりした直後にPC上で挙動を確認しデバッグができる。植田氏は「自動車は、非常に高い信頼性が求められる。GSILでは、人手では不可能な膨大な組み合わせの網羅的なテストを僅かな設定で実施でき、信頼性を高められる」と説明する。

 近年はOEMがより早期に仕様を検証するために、サプライヤーに仮想ECUの提供を求めるケースがある。その際もGSILの持つ仮想ECUアシスト機能や秘匿性、ツールコストの抑制といった特性により対応が可能になる。

 開発力の底上げに向けては教育も重要である。ユビキタスAIはECU初学者向けの自己学習型パッケージ「GTrainer」も提供している。開発実務に必要な知識やスキルを網羅し、演習問題に対し作成したコードをGSILでデバッグしながら学習する(図3)。「最短5日間でトレーニングが完了する」(植田氏)という。

図3:「GTrainer」で学習できるECUソフトウェアの開発実務に必要な知識やスキル

制御の分散化によりタイミングの検証がより重要に

 自動車の自動制御は現状、専用ECUが一元的に制御している。そこでは、センサーによる障害物検出からアクチュエーターやブレーキを利かせるまでの時間など、いくつもの時間制約が設定されている。

 それがSDV時代には、駆動部ごとに置かれるゾーンコントローラーと中央の高速演算ユニットであるHPC(High Performance Computer)が連携して制御する。植田氏は「分散処理によりタイミング検証の難度は格段に増す」と指摘する。

 これに対応するのがタイミング検証ツール「chronSUITE」(独INCHRON製)である(図4)。イベントチェーン全体の動作タイミングを、シミュレーションと実機による解析で追跡・検証する。

図4:「chronSUITE」はシミュレーションと実機による解析で、動作タイミングを可視化する

 「イベントチェーンは今後、さらに複雑さを増し、人手での追跡は困難になる。一方でchronSUITEのシミュレーションは稀にしか生じない不具合の発見にも役立ち、安全に直結するECUの信頼性確保に貢献する」と植田氏は説明する。

 実行速度改善支援ツール「Codee」(スペインのAppentra製)もユビキタスAIは扱っている。コードの静的な解析により高速化が可能な箇所に関するアセスメントを実施し、結果とともに手動あるいは自動で最適化が可能な候補と修正方法を提示する。解析結果からは速度低下の理由も確認できるなど「熟練者でなくても改善箇所や、その理由を把握できる」(植田氏)という。

 植田氏は「ECUソフトウェア開発の多様な課題への対応を後押しするため、これらのツールのさらなる普及に注力する」と力を込める。

お問い合わせ先

株式会社ユビキタスAI

Webサイト:https://www.ubiquitous-ai.com/