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SDV時代のECUソフトウェア開発には信頼性と効率を両立できる支援ツールの選定を

「第11回 オートモーティブ・ソフトウェア・フロンティア 2026 オンライン」より、ユビキタスAI エンベデッド第3事業部 担当部長の植田 宏 氏

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2026年4月6日

SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義自動車)への移行が加速する中、多くの企業が直面している課題の代表格がECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)ソフトウェアの開発難度の高さだ。組み込みソフトウェアを手掛けるユビキタスAI エンベデッド第3事業部 担当部長の植田 宏 氏が「第11回 オートモーティブ・ソフトウェア・フロンティア 2026 オンライン(主催:インプレス、共催:名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所、2026年2月25〜27日)」に登壇し、ECUソフトウェアに対応した開発ツール群を紹介した。

 「SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義自動車)は、いよいよ事業化フェーズに突入しつつある。だが、主要コンポーネントであるECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)開発のハードルは高く一筋縄ではいかない。安全確保のための絶対的な信頼性と、競合との競争に勝ち抜くための早期リリースとが求められるからだ。そうした相反する要求を満たす開発で鍵を握るのが、開発者を直接的に支援するツールの選定だ」──。組み込みソフトウェア開発を手掛けるユビキタスAIのエンベデッド第3事業部 担当部長である植田 宏 氏は、SDV時代の開発課題を、こう指摘する(写真1)。

写真1:ユビキタスAI エンベデッド第3事業部 担当部長の植田 宏 氏

 技術革新によりECUソフトウェアの規模と複雑性は増すばかりだ。高信頼性の確保では、機能安全・誤動作防止を前提とした設計・実装、さらには、ごくまれな条件が重なった場合にのみ発生する再現しにくい不具合を含めた網羅的な検証が欠かせない。「機能が増えると必然的に開発や検証に要す工数や時間は指数関数的に増加する」(植田氏)

 同時に、ソフトウェア規模の増大で悩ましいのが開発の手戻りだ。その判明タイミングが開発終盤に近づき、かつソフトウェア規模が大きくなるほど修正範囲は広がり、納期とコストに悪影響が及ぶ。植田氏は「不具合1件当たりの修正コストは、実装工程で不具合が見つかった場合の977ドルに対し、テスト工程で発見した場合は7136ドルと、約7倍に跳ね上がる。短期開発のために人員を増やす手もあるが、近年の技術者不足の状況では難しい」とする。

開発の初期段階では不具合検出率を最重視しリコールリスクを避ける

 そうしたECUソフトウェア開発の課題に対しユビキタスAIは、開発支援ツールを工程別に複数用意する。その1つが、開発初期のコード記述段階で利用する静的解析ツール「CodeSonar」(米AdaCore製)である。

 静的解析ツールは、実機でコードを実行する前のコード段階で不具合を検出する。その選定ポイントとして植田氏は(1)Recall:不具合検出率、(2)Precision:解析結果の正確性、(3)Performance:解析速度の3つを挙げる(図1)。

図1:静的解析ツール選定の3ポイント

 3つのうちRecallは、性能が高いほど検出漏れが少ないが精査の工数が多くなり、一般に解析時間は長引きがちである。Precisionが、性能が高いほど確実性の高い不具合の検出率は高くなり、その後の精査の工数は減るが、検出の“漏れ”もそれだけ生じやすくなる。

 「ECUソフトウェアの開発で最優先すべきは信頼性である。だが、不具合を1つ見逃すだけでもリコールに発展しかねないだけに、ツールの選定時にはRecallを最重視すべきだ」と植田氏は強調する。

 CodeSonarでは「他のツールでは困難なデータ競合(割り込み干渉)をポインタ解析などにより高い精度で検出できる。コード段階で不具合を検出することで、不具合修正の手間と時間も、最終テスト段階での発覚より格段に抑えられる」(植田氏)という。