• News
  • 共通

全社規模でDXを継続推進している企業は3%に留まる、IPAが調査

DIGITAL X 編集部
2026年5月22日

「DX(デジタルトランスフォーメーション)を全社規模で継続的に推進している企業は3%」--。こうした調査結果をIPA(情報処理推進機構)が2026年5月15日に発表した。最も多かったのは、一部部門で散発的にDXに取り組む段階であり、多くの企業が部門横断での推進体制を構築できていない実態が明らかになった。

 IPA(情報処理推進機構)の「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2025年版)」は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進状況を企業が自己診断するためにIPAが提供する「DX推進指標」を分析したもの。2025年版では、2025年1月から12月までに提出された1241件のうち、重複や不備を除いた1164件を対象にした。全体傾向に加え、中小企業、DX認定制度の認定企業、DX推進指標を2年連続で提出した企業などについても分析した。

 同レポートによると、診断を実施した成熟度レベルにおいて、全社規模でDXを継続するレベル4以上の企業は38社で、全体の3%に留まった(図1)。最も多かったのは「レベル1以上2未満」の393社、次いで「レベル2以上3未満」の371社で、全社戦略に基づき部門横断的にDXを推進できている企業は少数となっている。

図1:「DX推進指標」提出企業の平均分布

 そのDX推進指標では「経営視点」「IT視点」から構成する35項目を用いて、自社の成熟度を0から5の6段階で評価する。成熟度レベルは、「未着手」であるレベル0から、「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」であるレベル5までを定義している(表1)。

表1:DX推進指標における成熟度レベル
成熟度レベル取り組み段階特性
レベル0未着手経営者は無関心か、関心があっても具体的な取り組みに至っていない
レベル1一部での散発的実施全社戦略が明確でない中、部門単位での試行・実施に留まっている。例えば、PoC(Proof of Concept:概念実証)の実施において、トップの号令があったとしても、全社的な仕組みがない場合は、ただ単に失敗を繰り返すだけになってしまい、失敗から学ぶことができなくなる
レベル2一部での戦略的実施全社戦略に基づく一部の部門での推進
レベル3全社戦略に基づく部門横断的推進全社的な取組を行っていることが望ましいが、必ずしも全社で画一的な仕組みを指しているわけではなく、仕組みが明確化され部門横断的に実践されていることを指す
レベル4全社戦略に基づく持続的実施定量的な指標による持続的な実施。同じ組織、やり方を定着させていくこと以外に、判断が誤っていた場合に積極的に組織、やり方を変えることで、継続的に改善していくということも含まれる
レベル5グローバル市場におけるデジタル企業デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル。レベル4における特性を満たした上で、グローバル市場で存在感を発揮し、競争上の優位性を確立している

 指標別の分析では、企業が掲げる目標と現状との間に乖離も見られた。経営視点指標では、目標値3.51に対して現在値1.98、IT視点指標では、目標値3.50に対して現在値1.97でそれぞれ差がある。経営視点とIT視点でスコアがほぼ同じであった(図2)。

図2:全指標・経営視点指標・IT視点指標の現在値と目標値

 IPAは、企業が目標を達成するためには「DXのための経営の仕組み」と「ITシステムの構築」を両輪として進める必要があると指摘する。経営改革とIT基盤を分離せず、目標策定とアクションを一体的に実行する必要があるとする。

 DX推進指標は、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」に基づき、2026年2月に改訂した。改訂版では新たに、データ活用・連携、デジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティなどの要素を取り入れた。同年4月からは、改訂版を使用した自己診断の受付も開始している。

 IPAは2019年から、DX推進指標の自己診断結果を毎年分析し、レポートとして公開している。