• News
  • 製造

設計の非構造化データをLLMで構造化し検索可能にする基盤、ギリアが開始

DIGITAL X 編集部
2026年6月1日

設計・開発で生じるCAE(Computer Aided Engineering:コンピューターによる開発)解析結果や3D CAD(3次元のコンピューターによる設計)モデルなどの非構造化データを検索可能にする基盤を、AI(人工知能)技術を開発するギリアが提供開始した。マルチモーダルLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)で解析内容や設計意図を説明文として生成し、ナレッジとして蓄積・構造化する。製造業における流用設計や派生検討、設計資産の再利用などを支援する。2026年5月20日に発表した。

 ギリアの「GHELIA AutoDeck(GAD)」は、設計・開発データに含まれる非構造化データを検索に適した形へ構造化するための基盤(図1)。マルチモーダルLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を使った解析により、設計ノウハウをナレッジとして体系化する。製造業における流用設計や派生検討の効率化、設計資産の再利用促進につなげられるという。

図1:ギリアの「GHELIA AutoDeck(GAD)」による非構造化データの構造化から活用までの流れ

 GADは、CAE(Computer Aided Engineering:コンピューターによる開発)の解析結果や3D CAD(3次元のコンピューターによる設計)モデルなどの非構造化データを読み込み、解析内容や設計意図などを生成AI(人工知能)技術が説明文として付与する。その際にメッシュ情報や材料定義、境界条件、解析ログなどの設定情報も合わせて読み込み、検索可能なナレッジとして構造化する。

 具体的には、CAE解析のコンター図やヒートマップなどの画像から、シミュレーションの目的、観察結果、考察、結論、次のアクションといった情報を自然文で生成する(図1)。例えば「何のためのシミュレーションか」「解析結果からどのような現象が読み取れるか」「次にどのような設計変更や追加解析が必要か」といった内容を文章化する。

図2:GHELIA AutoDeckが対応する非構造化データと抽出するナレッジレコードの一覧

 生成した説明文に加え、解析画像、解析条件、補足テキスト、CADデータから抽出した形状特徴量などを関連付けて保持する。形状特徴量はSTEP/STP/STLファイルから抽出したベクトル情報で、形状の類似検索などに利用する。検索性を高めるために、解析種別、プロジェクト名、部署名などをメタタグとして付与する。

 検索機能では、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)やAIエージェント、類似検索などを組み合わせる。自然言語による検索に加え、3D形状を起点とした類似検索や、それらを組み合わせた横断検索にも対応する。

 システムは、企業固有のデータの秘匿性を重視してオンプレミス環境で稼働する。

 ギリアによると、製造業では設計ノウハウの継承や再利用が進みにくい課題がある。設計関連データの多くは非構造化データであり、担当者が個別に資料やメモを作成して補足情報などを残すケースがある。記載内容にバラツキが生じやすく、必要な情報を後から検索しにくかった。

 近年は、LLMやRAGを活用したナレッジ検索への関心が高まっている一方、非構造化データそのものを充分に扱えず、検索精度や回答品質が安定しないケースがあった。