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AIが購買に関与する「エージェンティックコマース」に向けた対応策、アクセンチュア ソングが説明

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年10月14日

AI(人工知能)エージェントが購買判断に関与する「エージェンティックコマースへの対応策をアクセンチュアでCX(Customer Experience:顧客体験)領域を担う部門であるアクセンチュア ソングが2026年9月2日に開いたメディア向け勉強会で説明した。AIエージェントが参照しやすい商品情報の整備と、自社の知識を使って購買体験を支えるAIエージェントが必要だという。

 「商品の購買に関する判断は今後、人だけではなく、人とAI(人工知能)エージェントの両方が下すようになる。商品は、人へのマーケティングと、AIエージェントへのマーケティングの両軸で選ばれ続ける必要がある」--。アクセンチュア ソングのシニア・マネジャー 石井 達郎 氏は、AI時代の購買判断を、こう説明する(写真1)。

写真1:アクセンチュア ソング シニア・マネジャーの石井 達郎 氏

 アクセンチュア ソングは、アクセンチュアの一部門で、CX(Customer Experience:顧客体験)領域におけるコンサルティングや技術支援を提供している。

 商品の購買判断にAIエージェントが関わる「エージェンティックコマース」について石井氏は「今は、人の質問に答えて商品を探すAIアシスタントだが、今後は、蓄えた情報を基に自ら商品を提案するAIエージェント、さらには決済までを代行する自律型エージェントへと段階的に変化する」とみる。

 既に自律型エージェントの実現に向けては「ChatGPT」(米OpenAI製)などの対話型AIサービス内で完結する仕組みや、AIエージェントと小売り・決済事業者のシステムを接続するための規格の整備が進んでいる。石井氏は「そうしたAIサービスが購買接点の主戦場になりつつある。将来的な購買行動に向け、今から対応を進める必要がある」と指摘する。

 具体的な対応策としては(1)AIエージェントに選ばれやすい商品情報整理と(2)ブランド独自のAIエージェント構築による購買支援の2つを挙げる(図1)。

図1:エージェンティックコマースに向けては、汎用AIエージェントへの商品情報の提供と、ブランド独自のAIエージェントの構築が必要だという

対応策1:AIエージェントに選ばれやすい商品情報整理

 商品名や価格、仕様などの商品データを標準化し、AIエージェントが読み取りやすい形に整える。検索エンジンに対し最適化を図るSEO(検索エンジン最適化)に対し、AIエージェントに対して最適化を図る「AIO(AI最適化)」である。

 商品の仕様だけでなく「誰が、どんな場面で使う商品か」など商品選択につながる情報も必要になる。例えばビールなら、アルコール度数や容量といった仕様に加え、想定する顧客層や、味わい、飲用シーン、相性のよい料理などを付加する。「サーフィンの後に適している、低カロリーであるなどの付加情報があれば、そうした場面ではAIエージェントにビールが選ばれやすくなる」(石井氏)とする。

 こうした情報は「自社サイトで公開するだけでは不十分」(石井氏)という。AIサービス提供企業が用意する商品情報登録窓口へ申請したり、データを受け渡す共通規格へ対応したりすることでAIエージェントとの接点を増やす。石井氏は「関係各社から必要な情報をどう集めるか。そのための仕組みや規格、仕様を理解したうえで情報を拡充し続ける体制が必要だ」と指摘する。

対応策2:ブランド独自のAIエージェント構築による購買支援

 商品探しや購入後のサポート、店舗での相談など、顧客対応に自社の知識が必要な場面に対応できるAIエージェントを構築する。アクセンチュア ソングではこうしたAIエージェントを「オウンドエージェント」と呼ぶ。構築後も対話データを分析し、回答や提案の精度を高める必要がある。

 オウンドエージェントの例には、眼鏡チェーンのJINSが開発した「JINS AI」がある。店舗スタッフの会話記録をデータベース化し、レンズとフレームの組み合わせなどを学習させた接客用AIエージェントだ。商品について説明したり、レンズとフレームを組み合わせられるかどうかを回答したりする。繁忙時などに顧客にまずJINS AIを使って希望を整理してもらい、そのうえで店舗スタッフが対応するといった使い方を想定している。

 商品情報の整理とオウンドエージェントの構築の、どちらを重視すべきかは「業種や商材で変わる」と石井氏は説明する。「日用品など入れ替わりが早い商材は商品情報を迅速に更新し、AIエージェントに選ばれるよう整備するのが重要になる。高単価な商材や専門的な説明を要するサービスでは、オウンドエージェントによる適切な情報提供が差別化になる」(同)という。