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AI戦略の日本の勝ち筋、KDDIの高橋会長、グロービスの今野代表パートナー、平 前デジタル大臣が議論
「OPEN INNOVATION SUMMIT 2026」より
大資本がなくても事業の立ち上げが可能に
AI技術の進化、特にタスクを自律的に実行するAIエージェントの登場は、企業の組織構造や労働市場のあり方を根底から変えようとしている。平氏は「ビジョンを持つ少数精鋭の起業家がAIエージェントを駆使することで、かつて大資本が不可欠だった事業を小規模で立ち上げられる時代になった」とする。
その一方で、大企業ではAI技術の導入費用が膨らむものの、雇用の維持が障害になりコスト削減には至っていない。これに対し高橋氏は「経営層がAI技術の導入を指示しても、コストだけが増え人員の最適化が進まない。大企業はAI技術の導入費用を人事部門に持たせ、人件費とAIコストを一体で管理するような経営アプローチへの転換が必要だ」とした。
また通信・メディア業界では、顧客接点が米国のプラットフォーマーに奪われる傾向が強まっている。さらに、AI技術の開発会社に自社データや機密情報を委ねる「逆情報パラドックス」への警戒感も高まっている。
平氏は「サイバー空間のAI技術では米中が均衡しているが、実空間のフィジカルAI領域では米国が単独で中国に対抗することは困難だ。現場データとモノづくり技術を持つ日本が米国と対等なパートナーシップを組めば、日米連携でフィジカルAI市場を開拓する好機が訪れている」とした。
これまで日本は“自前主義”や“研究開発の小規模分散”という失敗パターンに陥ってきた。例えば、量子技術やバッテリー開発では、国内企業各社が独自の資本力で個別に研究開発に取り組んだ結果、世界規模での集約が遅れ市場のイニシアティブを失った。
今野氏は「大企業内部で抱えきれない研究開発や新事業は、早期にスピンアウト(分社化)させ、民間資本や外部人材を取り入れてアジャイル(俊敏)に育成すべきだ」と提言する。加えて「日本の大企業に根強いメンバーシップ型人事制度が高度人材の流動性を阻害している」とし、資本と人材の流動性を高める生態系の構築を訴えた。
高橋氏は「従来のコーポレート・ベンチャーキャピタル(Corporate Venture Capital)による過保護な支援を脱し、米国のトップレベルVCへのLP(Limited Partner)出資などを通じてグローバルな経営支援を直接引き入れる取り組みを進めている」と明かす。「海外資本や起業家を日本市場に呼び込み、日本のスタートアップの海外展開を推進することで、世界水準のユニコーン企業の創出を目指す」(同)という。
モデレーターを務めたeiicon 代表取締役の中村 亜由子 氏は「単独の企業や地域が抱え込まず、多様なプレーヤーが結集して社会課題を解決する取り組みが全国で始まっている。日本が持つ潜在力や現場の強みを再評価し、企業や行政、VCが一体になって知恵を出し合う必要がある」と総括した。
