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大企業にイノベーションは起こせるか、ブロックチェーンに取り組む当事者が明かす成功の法則

「Mirai Salon #8」より

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2018年7月11日

海外を視野に入れた情報発信や連携が大事

木村:ブロックチェーンへの取り組みが日本は海外より遅れているとの指摘があります。

塚田:日本が遅れているとは感じません。業種業態は問わず、どうやってビジネスにつなげるかの相談が増えていますし、国内のAWS上にブロックチェーンを構築している例もあれば、ハイレベルなことに取り組んでいる日本のスタートアップも少なくありません。

 ただ、もっと情報を外部に発信する必要があります。それが一番大事なことではないでしょうか。

写真5: AWS(Amazon Web Services)ジャパン ソリューションアーキテクトの塚田 朗弘 氏

:米シリコンバレーはさすがに先行していますが、世界の他地域と比べて遅れているということはありません。たとえば露モスクワや英ロンドンなどは、ビジネスレイヤーは進んでいますが、テクノロジレイヤーはあまり進んでいません。むしろ彼らは、私たちと一緒に何かできないかというスタンスです。

 一方で、ブロックチェーン関連で海外を訪問する日本企業がほとんどいない点は問題です。海外の企業ともっと交流していくことが大事でしょう。

インターネットの登場以上のインパクトがある

木村:ブロックチェーン今後、社会にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。

戸本:ブロックチェーンの原理は、乱暴に言うとP2P(Peer to Peer)と同じで、突然、ブロックチェーンが生まれたわけではありません。さまざまなタイミングが重なって、これまでの取引を代替する手段として使える時代になってきました。そう言う意味でインパクトはありますし、さらなる普及が期待される技術だと思います。

池田:これまでのITと比較しても、ブロックチェーンは思想色が非常に濃い技術です。私たちにとっては、社会が持つデータからイノベーションを起こすために、最初のスタックポイントを打破する大きな技術です。ただ、より良い技術が見つかれば、それに替える可能性もあります。

写真4:富士通ネットワークソリューション事業本部サービスビジネス事業部シニアマネージャーの池田 栄次 氏

:インパクトはインターネットどころではないでしょう。たとえば中国が信用経済になったことが示しているように、Smart Contractが実現すれば、相手を慮りながら契約を履行していく世界ができ、中央集権で仲介者が得てきた富をみんなに還元できるようになります。世の中は相当、変わるのではないでしょうか。

塚田:まだまだピンと来ない人が多いかもしれませんが、これから来る技術だと思います。インターネットに例えれば今は、ブラウザーのようなキラーアプリの登場を待っている状態でしょう。クラウドサービスの登場により、システムは所有から利用の時代に変わりました。ブロックチェーンは、それをより上位のレイヤーで可能にする次のパラダイムを作り出すことでしょう。